新型コロナウイルスの影響で阪神、ロッテ、楽天、ソフトバンクが活動休止に追い込まれる中、オリックスは4月1日から5日の本拠地・京セラドームでの全体練習中止を発表した。ただ二軍施設のある舞洲では午前に若手選手、午後は主力選手による2部制で自主練習を行う。ある選手は「みんな普通にやっていますよ。いつ開幕してもいいように準備はしておかないといけない」と話していたが、少し突っ込んで聞くと胸の内を明かした。「ヨソの球団が練習をやめているのにウチはやっていていいのか…という思いもある。それが僕らの仕事なんだけど、何のためにやっているんだ…という気持ちも正直あります」

 事態は刻々と変わっている。オリックスは31日から3連戦で予定されていた広島との二軍練習試合(無観客)を中止にしたほか、球団施設内のサウナや喫煙室の使用を一度に2人までとする人数制限を設けた。まだ外出禁止まではしていないものの、森川球団本部長は「不要不急の外出は控えるようにしてほしい」と呼びかけている。選手たちも「いつ自宅待機になるか分からない。今のうちに自宅でできるトレーニング機器を用意しておかないといけない。野手はバットを振れても、投手はピッチングができない」と不安を隠せない。

 そんな中、事態をもっと切実にとらえているのが中堅からベテランの選手だ。「このまま試合ができなかったらどうなるのか。キャンプから体をつくってきたのに、シーズンが中止になったら試合をできないまま契約を切られる選手が出るかもしれない。試合をやって結果を出せないのなら仕方ないけど、試合もしていないのに…というのは困りますよ。こんな時だから球団も大変だし、選手もあまり強くも言えないだろうし…。ずれてもいい、減ってもいいから試合をやってほしい」

 通常ならドラフトで新人選手が入団し、整理される選手は結果を出していない中堅、ベテラン選手が多い。ただ、試合がないのに年齢だけで整理されてはたまらず、球団関係者も「給料が減るのはこういう事態だから仕方なくても、試合もしていないのにクビにされたらかわいそうだよね。選手会と機構側で話して70人枠を広げる流れになればいいけど」と心配している。

 ベテラン勢にとっては一年一年が勝負だけに死活問題。祈る思いで事態を見守っている。