これも運命と割り切るしかないのか…。新型コロナウイルスの感染拡大により開幕は最速でも4月24日となった。巨人でこの影響を直接受けたのが支配下契約を勝ち取るために奮闘してきた育成契約の2投手だ。2月中旬の沖縄・那覇キャンプから一軍に帯同してきた沼田翔平(19)と与那原大剛(22)にとっては約1か月の“追試”が課された格好で、球団内からは「試練を乗り越えてほしい」と期待する声も上がっている。

 育成2年目・沼田は175センチとやや小柄ながら伸びのある直球とコーナーへの制球力を武器に頭角を現した。杉内投手コーチら二軍首脳陣の推薦で一軍に昇格。オープン戦5試合連続無失点など結果を出し続けた。

 一方、189センチの大型右腕・与那原は現ブルージェイズの山口俊に弟子入りして開眼。2015年ドラフト3位で入団も右ヒジを痛めて18年にトミー・ジョン手術を行い育成契約となった。

 原監督も「沼田は相変わらずいい。与那原はいい階段を上ってくれている。ジャイアンツにとっても非常に明るいニュース」と2人に期待を寄せており、予定通りなら当初の開幕日である今月20日までに吉報が届くはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から開幕が延期となり、状況は急変。残り4枠の支配下昇格については26歳の育成外国人右腕ディプランのみ規定により3月末が支配下期限となっていて、沼田と与那原は“待ち”の状態だ。大塚球団副代表兼編成担当は「沼田、与那原については焦る必要はない。じっくり見られる」と言う。

 目の前に見えていたゴールテープが消えてしまったことで、今後の練習試合での登板は事実上の“追試”となる。もし、打ち込まれでもしたら評価が一変してしまう可能性も否定できない。

 救いは本人たちがポジティブに捉えていることだ。沼田は「支配下が一番の目標ですから」と目標を見失っておらず、与那原も「(追試は)むしろアピールする場が増えてチャンスだと思ってやっています」と前を向いている。

 編成スタッフの一人は「2人にとっては試練だけど、仮に支配下になったとしても、それで気が抜けるわけではない。これを乗り越えられれば選手としてよりスケールが大きくなれる」と話す。球界に新型コロナウイルス感染者が出たことで4月24日に設定された開幕が再延期となる可能性もあるが、沼田と与那原はその日が来るまでアピールを続け、吉報を待つ。