ロッテ・鳥谷 阪神の呪縛が解け激変

2020年03月18日 16時30分

鳥谷と巨人・村田コーチ

 ロッテに電撃加入した鳥谷敬内野手(38)の激変ぶりが話題だ。昨季まで在籍した阪神では「クール」の象徴で、チームリーダーとして人一倍の練習量をこなし「背中」で引っ張る若手のお手本的存在だった。ところが新天地では一転、練習中も朗らかで、報道陣への対応も実にフランク。いったい何がどうなったのか――。

 プロ入り直後から鳥谷を知る阪神関係者は「うちでは親しい仲間以外とは余計な話をしなかったし、むしろ寡黙な鉄人として若手選手や報道陣を寄せ付けない威圧感があった」と言う。ところがロッテ入り後の鳥谷は、そんなイメージが一変した。練習では笑みが絶えず、報道陣への対応も実に丁寧で、自ら「その質問、いる~?」と笑いを振りまくなど、これまでとは別人のような“明るさ”や“絶口調ぶり”が続いている。

 それにしても、なぜ鳥谷は激変したのか? 阪神を退団してから移籍先がなかなか決まらず、引退危機に直面した。ロッテへの入団が正式発表されたのは今月10日。現役続行が現実となったことで「野球ができる喜びを満喫している」との見方もあるが、前出の阪神関係者は「阪神の呪縛から解き放たれたことが一番大きいはず」と言って、こう続けた。

「阪神は良くも悪くも周囲から注目を浴びるチーム。特に関西では絶大な人気を誇るだけに、トリ(鳥谷)クラスの主力ともなれば、朝から晩までメディアやファンに追われるのが日課です。しかも鳥谷は中心選手としてチームをけん引するという重圧を長年背負わされ続けましたから。いつの間にか自然と自分自身で周囲に壁をつくってきたのでしょう。でも、ロッテではその重荷を背負う必要がなくなったばかりか、関西に比べて関東のメディアやファンは選手に優しい。もともと生まれが関東(東京都東村山市)だし、大学(早大)までずっと関東。やはり関西より水が合うのでしょう。こうした環境の違いがトリを冗舌にしたり、明るくしているのは間違いないでしょうね」

 阪神でともにプレーしたロッテの今岡二軍監督も過去の鳥谷との違いをこう分析する。

「阪神時代には背負うものが大きかったし『楽しめ』と言うても『楽しめるか』という感じだから(笑い)。彼はずっと調子良かろうが悪かろうが一軍のベンチにいたわけですしね。僕には分からない世界を経験してきていますから。その辺が大きいと思いますよ」

 17日には二軍で巨人との練習試合に「3番・遊撃」で先発出場し、3打数1安打。3度の守備機会も無難にこなした。実戦は昨年10月の巨人と戦ったCSファイナルステージ以来だったが「走ったり、守ったり、打ったりの中で、感覚が違うなというのは自分の中ではなかった」と話した。

 ロッテのユニホームを着てから間もないが、阪神との違いは「当然あります」。報道陣の数もその一つで「自分が(ロッテに)来た時は人がたくさんいましたけど、昨日(16日)なんて誰もいなかったので」と言って笑った。ただ、寂しさを感じているわけでもないようで「誰も見てないところで練習するのは嫌いじゃないし、そういう意味では(阪神時代に比べ)楽という表現がいいのかは分からないが、自分の課題と向き合える時間があるのはいい」と実感を込めた。“素”を取り戻した鳥谷は新天地で羽ばたく準備を着々と進めている。