西武・松坂 生き残りへ1週間で覚えた“127キロ魔球”

2020年03月16日 13時32分

人さし指と中指でボールを軽く挟む松坂の新球スプリットチェンジ

 14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔投手(39)が15日のヤクルト戦(メットライフドーム=オープン戦)で3回を1安打無失点3奪三振。“魔術師”としての本領を発揮した。

 ライオンズのユニホーム姿では斉藤和巳との球史に残る投手戦(6安打13奪三振で1―0の完封勝利)を演じた2006年10月7日、ソフトバンクとのプレーオフ第1戦(当時インボイス西武)以来の本拠地マウンド。そこで松坂は今ある投手としてのサバイバルの形を示した。

 ストレートの最速は139キロ。それでも課題のカットボールを打者の内外角に投げ分け、同球の左打者への制球が定まらないとみるや、この日安定していたツーシームをカウント球に使うなど臨機応変なマウンドさばきを披露。辻監督を「打者とのかけ引きはさすが」とうならせた。

 そのツーシームを6回の左打者・村上には内角のボールゾーンから「フロントドア」でゾーンに入れ、見逃し三振を狙う(判定はボール)など変幻自在。7回には西口から本来はカウント球であるカーブで完全にタイミングを外しての空振り三振。極め付きは8回の村上に対しストライクゾーンから外角低め、ボールゾーンへ逃げていく127キロの新球で奪った空振り三振だった。

 松坂はこの球種について「あれはいわゆるスプリットチェンジでニールに教わった球。先週ニールが投げているのを見て、いいなと思って握りと投げ方を教えてもらった。そっちの方がコントロールしやすそうだったので練習で使ってみて本番でも使えそうだったら(持ち球に)入れていく感じですかね。実戦で投げるのが一番いい練習なんで使っていきたいと思っていた」とコメントした。

 ストレートの球速が常時150キロを超えていた全盛期の松坂は同じ軌道で左打者の外角へ逃げていくチェンジアップを決め球のひとつとしていた。当時の握りは憧れのペドロ・マルチネスをマネた「サークルチェンジ」と呼ばれるもの。親指と人さし指で輪を作り中指と薬指を中心にボールを握って打者のタイミングを外していくブレーキングボールだった。

 それを今回は浅いフォークに似た握りに変え同じような軌道を再現する決め球にシフト。「(握りや投げ方は)いろいろと替えてます。自分に合う投げ方を探しながら。変化を小さくしたら内野ゴロも打たせられると思う。カウント球にも決め球にも使えると思う」と現在進行形の試行錯誤を説明した。

 全盛期のころから自らを「ストレートの速い変化球投手」と自称していた松坂。その器用さを生かし、自慢の速球が10キロ以上減速した今は、生命線のカットボールを中心に七色の変化球で目先を変え的を絞らせない投球に活路を見いだしていくしかない現実がある。

 もちろん、肝に銘じなければいけないのは勝負どころの制球を絶対に間違わないこと。それを念頭に試行錯誤しながら勝つための方法論を探っていくのが今ある松坂の生き残る道といえる。