オープン戦をセ・リーグチームではトップの3位で終えた阪神で野手陣が震える“鬼練習”がよみがえる可能性が出てきた。復活が検討されているのはキャンプ中の打撃練習メニューの一つで「キツイ練習も、よりメリハリをつけて」と井上一樹打撃コーチ(48)が発案した「音楽」を用いた練習法だ。

 キャンプ中はどの球団でも様々なジャンルの曲がBGMとして流されるが、今年の阪神では布袋寅泰の「スリル」が流れると、ティー打撃を行うペースを一気に速くするというのが決まり。選手はボールケースを空にするか、約4分30秒の楽曲が終わるまで、超高速テンポで打ち続けなければならず、最後は腕も足腰もパンパンに…。終了時は多くの選手がその場に倒れる過酷さで、奇抜なイントロやサビのインパクトも手伝い、選手間では「恐怖の曲」として恐れられた。

 この通称「スリルティー」は当初、鍛錬がメインのキャンプ限定で行う予定だったが、開幕延期で練習日が増えたことで“再演奏”の可能性が高まっている。「公式戦に入ったら、もちろん明日の試合が一番大事だけど(開幕まで)あと3週間とか1か月あるなら、もう1回体をイジめてやるのも手だと思っている」(井上コーチ)

 実際に神宮球場で行われた11日のヤクルト戦では、試合前に大山や陽川など先発を外れた面々を中心にこのメニューで追い込んだ。このときは、敵地で球場内の曲をセレクトできなかったが、17~19日に本拠地・甲子園で行うチーム練習では選曲が自在となる。

 その意図はキャンプ同様に「振る体力」を養うこと。条件は整っているだけに、あとは「夏から秋にかけてのバットを振る体力、貯金をつくってほしい」と話す井上コーチがいつゴーサインを出すかどうかだ。