新型コロナウイルスの感染拡大により、20日に予定されたペナントレースの開幕が延期となったプロ野球。大幅な日程変更など混乱は避けられないなか、各球団の反応はそれぞれだ。巨人・原辰徳監督(61)は9日に示された決定に理解を示したが、開幕延期による影響を最も受けるのは「3・20」に照準を定めて調整してきた選手たち。ただ、巨人のチーム事情としてはデメリットばかりではないようで…。

 この日、都内で開かれた新型コロナウイルス対策連絡会議で専門家チームから出されたのは、時期尚早との判断だった。開幕延期が「望ましい」との見解が示され、12球団の臨時代表者会議で確認された。

 2020年シーズンはまさに波乱の幕開けとなるが、この日、報道陣に応対した原監督は私見としながら「無理して無観客というよりもファンとともに、まさに球春到来という形でスタートは切りたい。一番避けたいのは無観客。心底そう思うよ」と球界全体の決定を受け入れた。

 新型コロナの終息が見えないなか、いつ開幕するのか、既存の日程をどう変更するか…など問題は山積しているが、開幕延期によって影響をモロに受けるのは選手だろう。やむを得ない措置とはいえ、20日に向けて調整を進めてきた選手たちがモチベーションを維持できるかも気がかりだ。

 一方、調整期間が延長されたことで巨人では「デメリットばかりではない」との見方もある。投打のキーマンの復調が見込めるためだ。投手陣ではメルセデスの“開幕ローテ入り”の可能性も浮上する。キャンプ序盤に左ヒジの違和感を発症して出遅れていたが、今月中旬には実戦復帰予定。本来の開幕ならば絶望的だったが、延期によって大逆転の目も出てきた。また、昨季からの疲労も考慮され、遠征に帯同していないリリーフの柱・中川にも“朗報”となりそうだ。

 野手陣では何といっても坂本だろう。年明けから2度もインフルエンザに感染する不運に見舞われ、キャンプ終盤には背中の違和感にも襲われた。思い描いた調整ができず、思わず「野球人生の中で一番調整できていない」とこぼしたこともあった。ただ、開幕まで猶予期間が増えたことで、これまでの遅れを取り戻すことも可能となるかもしれない。

 さらには、一軍の壁にぶつかり、8打席連続三振を含む18打席無安打が続く“眠れる大砲”モタのリフレッシュや突貫工事の時間にも充てられそうだ。

「時間は公平にあるわけだから、いかにうまく使っていくか」と前向きな言葉も残していた指揮官。いずれにせよ、開幕延期が与える影響は計り知れないが、現場がどれだけ時間を有効活用できるかがシーズンの行方を大きく左右しそうだ。