伝わった怪物の思い「このまま死んでたまるか」

2020年03月09日 16時30分

広島戦に登板した松坂

【大下剛史 熱血球論】西武の松坂大輔投手(39)が8日の広島戦(マツダ)でオープン戦初登板。3回を投げて4安打3四球2失点だった。本紙専属評論家の大下剛史氏は“平成の怪物”の復活に大きな期待を寄せた。

 久しぶりに“平成の怪物”の投球を生で見させてもらった。顔の色つやは良く、体も引き締まっていたし、14年ぶりに着たライオンズのユニホームも似合っていた。マウンド上で醸し出す雰囲気もいい。ただ、肝心の投球からは哀愁のようなものを感じてしまった。

 3回で69球を投げて4安打3四球で2失点。最速は142キロながら全体的にボールが高く、鈴木誠には完璧に捉えられて左翼後方のコンコースまで運ばれた。全盛期と比べてはいけないと思っていても、つい「あの松坂大輔でも最後はこうなってしまうのか」と思わずにはいられなかった。

 しかし、このまま死んでなるものか――との思いはヒシヒシと伝わってきた。石にかじりついてでも開幕ローテーション争いに勝ち残ってやるという強い意志も感じる。右肩の故障で2試合にしか登板できなかった昨年のことを考えれば、一軍のマウンドで投げられる状態にあるだけでも立派なことだ。

 日米で一時代を築いた松坂にはカリスマ性もある。後ろを守る野手だって「松坂さんが投げているんだから」と、いつも以上に気合が入ることだろう。何もかつてのようにビシビシと力でねじ伏せる必要はない。たとえ5回3失点ぐらいでも勝ち投手になれば、その1勝は2勝にも3勝にも匹敵する波及効果をチームにもたらす。それを見越して松坂にチャンスを与える辻監督も大したものだ。

 プロ野球にはいろんな選手がいていい。ベテランが必死になっている姿を見て「俺も頑張ろう」と明日への活力にするファンだっている。松坂には持ち前の強気な姿勢を忘れず、一日でも長くマウンドで投げている姿を見せ続けてもらいたい。