厳戒態勢の北の大地で異様な光景が繰り広げられた。巨人が3日に札幌ドームで開催された日本ハムとのオープン戦から報道陣への対応を一変させた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止へ、全道に「緊急事態宣言」が出されるなか、無観客で行われた一戦。巨人は散発4安打で0―3の零封負けを喫したが、取材に訪れたメディアへの“規制”は何から何まで異例尽くしなものとなった。マスク着用は当然として、主催球団の日本ハムの対応を踏襲する形で試合前の取材はグラウンドの取材エリア内に限定。時間も1時間に短縮され、その際も対象者と至近距離にならないように一定の距離を保ち、不要な会話や声掛けも控えるよう注意喚起がなされた。

 試合後の対応も異例中の異例だ。バックヤードへの立ち入りは禁止となったため「0点じゃね。点取りゲームだから。このままじゃいけないですね」とナインに奮起を促した原監督の取材が行われたのはベンチ前。球団側もメディアの要望に最大限応え、この日、指揮官と同じくグラウンドで報道陣に応対したのは宮本投手チーフコーチと1回をパーフェクトに封じた育成2年目の沼田の2人だった。

 球団側はこうした対応は今後も継続していく方針という。20日の開幕戦を通常開催するべく、一人の感染者も出さないためにあらゆる手立てを講じる構えだ。

 一方で、デメリットもある。報道陣からのリクエストは、ほとんどが活躍した選手に集中する。となると、試合中にファインプレーや好リリーフを見せた“陰の立役者”には、おのずとスポットライトが当たりづらくなる。結果的に、熱狂的なファンが求めるような“プチ情報”も出回りづらい状況が生まれかねない。

 そうした可能性は球団側も把握しており、可能な限り、広報部を通じたコメントや公式SNSなどを通じて情報発信していくという。緊急事態だけに報道規制をかけるのも無理はないが、選手の露出も増やしたい球団にとっては悩ましい状況が続きそうだ。