巨人が“ノーモア・バニスター”に必死になっている。新型コロナウイルスの感染拡大により3月15日までの全オープン戦が無観客試合となる異例の事態。これを受け巨人は外国人選手を対象に緊急コロナ説明会を敢行した。感染予防法を説明し母国にいる家族を今は呼ばないことなどを勧めたが、その裏でさらなる外国人補強が“一時凍結”となっていることも判明した。

 巨人は28日に今季初となる本拠地東京ドームで午後から約2時間、練習を行った。安倍首相が27日に公立の小中高の臨時休校を求めるなど感染拡大防止に国を挙げて取り組んでいる。この日の練習でも報道陣、球場スタッフ全員のマスク着用と検温が義務付けられた。

 その光景に母国に家族を残す助っ人外国人に「動揺するな」というのも無理な話。大塚淳弘球団副代表編成担当は「27日に一軍の外国人選手(パーラ、モタ、サンチェス、デラロサ)と陽岱鋼も含めてトレーナーがコロナウイルス対策を全部説明した。また今、母国に帰ったら隔離される可能性があることや再来日が難しくなること。家族が(日本に)来たいと言ってもしばらく待った方がいいということを話した」と明かした。

 巨人には2011年3月11日の東日本大震災時の苦い思い出がある。動揺した助っ人のブライアン・バニスター投手が3月15日に米国に無断帰国し、そのまま引退してしまった。バニスターの轍を踏まないためのコロナ説明会だったが、これでひとまず落ち着いたのか“サメ男”パーラはこの日の東京ドーム初練習後「いい球場だ。(治療した)ヒザの状態もいいよ」と笑顔を見せていた。

 実は巨人にとって今、助っ人に逃げられては困る事態となっている。この日、育成2年目のイスラエル・モタ外野手(24)と支配下契約を結び支配下外国人は6人となったが、球団はケガなど万が一の事態に備えてメジャーキャンプにスカウトを派遣。右打ちの一塁手と投手の補強を進めてきたが“一時凍結”されたという。

「国際スカウトと緊急補強は難しくなるという話はしている。(選手が)日本に行きたくないというケースが出ている」(大塚副代表)

 ロースター漏れ狙いのはずが選手に日本行きを避けられているという。仮にケガなど不測の事態があっても日本を取り巻く環境が改善されない限り、巨人は現有外国人でシーズンを戦うことになる。チームにとって外国人助っ人の心のケアが最重要課題となっている。