元祖“育成の星”巨人・山口鉄也三軍投手コーチ 鉄腕には鉄の心だ!

2020年02月28日 16時30分

現役時代と変わらぬフォームでキャッチボールする山口コーチ

【核心直撃】育成の後輩たちよ、オレに続け――。巨人・山口鉄也三軍投手コーチ(36)が指導者として初のキャンプを打ち上げ、本紙の単独インタビューに応じた。球団初の育成出身投手として9年連続60試合登板の日本記録を達成し、最優秀中継ぎ投手を3度受賞。642試合に登板して通算防御率2・34を誇った最強セットアッパーが今向き合うのは、かつての自分と同じ背番号3桁の原石たち。若手時代の恩師の教えを胸に「心の強い投手を育てたい」と鉄腕2世の育成に燃えている。

 ――三軍では育成選手への指導が主になる

 山口コーチ(以下、山口)自分も1年目は育成から始まったので、あのころの気持ちを思い出しながらやっています。背番号も新人時代と同じ(102番)ですからね。僕もあんな思いでやっていたな、今の選手もああいう気持ちでやっているんだろうな、っていうのが分かるので「みんな頑張れ!」って心から思いますよ。

 ――コーチの目で見る現在の育成選手たちは

 山口 みんな頑張っているとは思いますよ。でも僕のころより育成選手の人数が多いのでね。仲間が多いから、多少甘んじちゃっている選手もいるのかな、とは思います。でも、僕にもそんな時期はありました。

 ――自分が変わったのはなぜか

 山口 小谷さん(正勝氏=前巡回投手コーチ)の言葉です。巨人に入ったころの僕は同期で同い年の選手と仲良くなって常に行動を共にしていたんですよ。そうしたら、小谷さんから「お前は立場が違うだろ。支配下の選手と一緒にやっていたら、いつまでたっても追い付けない。お前は一番最後まで残って練習して、誰もいなくなってから帰りなさい」と言われまして。まだ3桁の背番号なのにプロ野球選手になったと勘違いしていた。そこで気持ちをリセットしてやれたというのが僕の野球人生には大きかったです。よく怒られましたが、僕もあんなコーチになりたいですね。

 ――育成出身コーチだからこそ教えられることもあるはず

 山口 まずは技術以前に気持ちの大切さは教えたいです。マウンドに立ったら相手にぶつけるぐらいの気持ちでいってほしい。投手なんて相手に恐怖心を与えたもん勝ちじゃないですか。「こいつの時は打席に立ちたくない」とか「死球を当てられなかったらよしとしよう」とか、そう思わせたら勝ち。今でも亀井さんに言われるんですよ。「ぐっさん(山口)、育成の時にオレの背中を通したもんなあ。打席に立つのが怖かったよ」って。打者にそう言わせたら“勝ち”なんです。

 ――気持ちの強さが成功の条件だと

 山口 一番大事でしょうね。僕が入った時に比べれば、今の子たちの方が球も速いし、ポテンシャルも高い。そこに気持ちがついてくればもっと伸びてくれると思うんです。今はみんな優しい子が多いのでね。ブルペンではいい球を投げるのに、マウンドに上がると「当てたら…」とか気にして腕を振れなくなる。優しさなんかいらないんですよ。自分はブルペンではネガティブでしたが、マウンドに上がったときには開き直っていましたから。もし打者に当ててしまっても、向かってきたら殴り返してやるぞというぐらいでね。

 ――女房役だった阿部二軍監督と指導者キャリアをスタートした

 山口 阿部さんの存在は心強いです。ファームのコーチ陣もみんな一緒に戦ってきた人たちばかりなので、すごくやりやすい。僕はまだ未熟ですが、日々勉強させてもらいながら一人でも多く背番号が小さくなる選手を送り出したいです。