新型コロナウイルスが球界を直撃 思い出す09年新型インフルの猛威

2020年02月25日 16時30分

巨人―広島戦が行われた24日の球場にはマスク着用をお願いする張り紙が

【赤坂英一 赤ペン!!】新型コロナウイルスが球界でも猛威を振るっている。私の滞在中に感染者が出た沖縄では各球団とも対応に大わらわだ。巨人では握手、サイン、写真撮影等ファンと接触するサービスを自粛。DeNAは咳、微熱、悪寒などの症状がある来客には来場を控えるようにとの張り紙を出した。ヤクルトでもジェット風船を禁止する注意書きを球場観客席に掲示している。これには、阪神、広島、DeNA、ソフトバンクも追随する見込みだ。

 オリックスをはじめ、開幕前にスポンサー企業やファンを集める激励会を中止した球団もある。この調子では、オープン戦の無観客試合や公式戦の開幕延期も現実的選択肢となるかもしれない。

 そこで思い出されるのがインフルエンザB型が球界を覆ったシーズン。2015年4月、巨人・川相ヘッドコーチが遠征先の広島で感染。発症の前日、私は川相ヘッドと食事していたため、巨人関係者は私にまで警戒の色をあらわにした。結局、私は発症しなかったが。1週間後に川相ヘッドが復帰したと思ったら、入れ替わるように「オレは大丈夫だよ」と言っていた原監督が発症。川相ヘッドが監督代行として5試合指揮を執り、4勝1敗で勝ち越した。この年2位だった巨人の貯金8のうち3を川相監督代行が稼いだ勘定である。

 もっとすさまじかったのは09年夏だ。死者2人を出したインフルエンザA型の新型ウイルスが首位の日本ハムを直撃。糸井、二岡、宮西、小谷野らの主力に加え、福良ヘッドや真喜志コーチら首脳陣まで集団感染している。8月には、旭川の主催試合を強引に中止して、楽天・野村監督に「インフルで逃げたな」と図星を突かれた。翌日の札幌ドームでは上限25人のベンチ入り選手が19人にまで減り、控え野手が3人しかいなくなった。

 球団は試合前、スコアボードに「ファイターズはいまインフルとたたかっております」というメッセージを掲示。スタンドの観客も「インフルに勝つぞ! 全員野球で!」と書いたボードを掲げた。マスク姿の記者に囲まれた梨田監督は「オレだってインフルで倒れたいよ!」とノムさんばりの大ボヤキ。実際、10月に優勝を決めた直後に過労でダウンしたという。

 果たして今年のコロナウイルスはどこまで球界に侵食するのか。この先も当分は予断を許さない日々が続きそうである。 

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。毎週金曜朝8時、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」出演中。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」(講談社)などノンフィクション増補改訂版が電子書籍で発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほか「すごい!広島カープ」(PHP文庫)など。最新刊は構成を務めた達川光男氏の著書「広島力」(講談社)。日本文藝家協会会員。