G投に裏指令“バレンティンの55号阻止せよ”

2013年08月21日 16時00分

本塁打を量産するバレンティン

 巨人は20日のヤクルト戦(長野)に2―0で快勝、阪神が敗れたためマジック30が再点灯した。先発・内海哲也(31)は7回2/3を7安打無失点の粘投で4年連続の2桁勝利となる10勝目(5敗)をマーク。屋外球場6連戦となる初戦を白星でスタートした。その一方で独走モードに入ったペナントレースの陰では、ひっそりともう一つの熱い戦いが行われていた――。

 

 先発が早い回で降板する苦しい試合が続いていた巨人だが、この日の内海は首脳陣の「7イニング指令」に応え、再三の危機を迎えながら8回二死まで無失点に抑えてエースの責任を果たした。原監督も「週初めの先陣として、いいスタートを切った」と内海の仕事には大満足。これで8月は10勝5敗2分けと、もはや巨人の連覇は疑いようもない。ペナントレースの興味は、徐々にタイトル争いに移りつつある。

 

 ところが今季の巨人には突出した成績を残している選手が少なく、主要タイトル争いで現時点トップに付けているのは、31セーブの西村だけ。球団関係者も「“総合力の勝利”といえば聞こえはいいけど、優勝にはそれなりの華が欲しい」と複雑な表情だ。

 

 さらに今季はMVPまで他球団にさらわれそうな事態になっている。チーム内では「今年も阿部さんで決まり」「いや、このまま打ちまくれば村田だ」と早くも“MVP予想合戦”が始まっているが、実はこの日対戦したヤクルトに強力なライバルがいる。現在42本塁打でキング争いをぶっちぎるバレンティンだ。

 

 オランダ代表として出場したWBCでのケガが原因でシーズン序盤は戦列を離れていたにもかかわらず、バレンティンはソフトバンクの王会長らが持つ日本記録55本塁打を上回る57・6本ペースで打ちまくっている。MVPは記者投票だが、優勝球団から選ぶというルールはない。巨人の候補が決め手を欠き、バレンティンが55本超えとなれば票を集める可能性は十分にある。ちなみに王会長が55本塁打を放ってMVPを獲得した1964年の巨人はシーズンを3位で終えている。

 

 何としてもMVPを自軍から出したい巨人では、若手投手をつかまえては「バレンティンには打たれるなよ」と、やんわりプレッシャーをかける関係者の姿も見られ始めている。一方で「監督の性格を考えれば(55本塁打超えがかかっていても)最後まで真っ向勝負でしょう」(チームスタッフ)というから、投手陣にかかる重圧はハンパではない。

 

 この日は巨人の投手陣がバレンティンを3打数無安打と完璧に封じ込んだが、ヤクルトとの直接対決はまだ10試合も残っている。優勝争いとは別の次元で繰り広げられる熱いバトルから、今後も目が離せない。