巨人・阿部二軍監督 本紙評論家・伊原氏と語った「ファーム教育論」

2020年02月21日 16時30分

伊原氏(左)との会話に熱中する阿部二軍監督

【伊原春樹・新鬼の手帳】激アツトークだ。就任1年目の巨人・阿部慎之助二軍監督(40)が本紙専属評論家・伊原春樹氏と宮崎キャンプで久々の再会を果たした。2007年から4シーズン、ジャイアンツでヘッドコーチを務めた伊原氏と“師弟”の間柄。だからこそ若き指揮官は試行錯誤しながらも胸の内で思い描く「ファーム教育論」を赤裸々に明かしてくれた。 

 伊原 二軍監督として初のキャンプ。慎之助が入団した01年とは選手の気質や性格が随分違うんじゃない?

 阿部 全然違いますよね。ゆとり世代って言われている子が中心なので、そこをどうしたら聞いてくれるかとか…。

 伊原 我々の時代っていうのは蹴って終わりだったけど(苦笑い)。

 阿部 それはできないので、どうモチベーション上げれば、この子たちはいいのかなっていうのをまず考えましたね。

 伊原 今の時代は自分の姿勢と言葉で指導していかないとイカンよな。

 阿部 それがたぶん一番の課題になるんじゃないかなと思ってますね。どう今の若い子を操って誘導するかっていう。やっぱりあまり自分たちのころを振り返るのはあまりしたくないんですけど。でも若いころ、自分がそういう基礎だったり、土台づくりをできたからこそ通用できたんじゃないかなというのがあったので。苦しかったですけれど、そういうのを経験してもらって少しでも何年か後にでも良くなる選手が出てくればっていうのはあります。とにかくこの人たちは考えないので…。

 伊原 考えない?

 阿部 考えて動いているように見えないから、「考えて動く」というスローガンを掲げたんですけど、あれ別に熟語じゃないんですよ(笑い)。

 伊原 今の子は皆、頭が良さそうには見えるんだけどな…。

 阿部 けれども本当に伝わっているのかが、話した後に「言っていること分かるか?」と言いたくなるような感じの子が多くて…。「自分はこうこう、こうです」っていうのが返ってこない。キャッチボールができないんですよね。でも無理やりにキャッチボールしてもダメだなと思いましたんで。たとえば話しかけるときでも「昨日の休み、何やってた?」という会話も必要ですし「今日しんどかったか?」とか「はい」か「いいえ」でも答えさせるように、まずキャッチボールをさせたいっていう…。僕もそういう選手にしゃべるときは、わざと「はい」か「いいえ」で答えられるようなことを聞いていますね。

 伊原 なるほどな。今の子は「やれ」と言ったら、いくらでも練習はやる。でも、ただやるだけで考えがないんだよな。

 阿部 このキャンプで思ったことは(今の若い選手は)走ったりとか、そういう体力ってすごくあるんですよ。でもその一番大事な(バットを)振る体力だったり、投げる体力、ノックを受ける体力っていうのが全然ないんですよ。

 伊原 野球の技術に対しての体力がないんだよ。

 阿部 そうですね。ウエートとかもすごく大事なことで、やったほうがいいと思います。けれどもそれよりも振って力をつけたりっていう発想の子がいないんですよね。

 伊原 今はこうティーでやっているけど。素振りっていうのは振る力をつけると思うけどね。

 阿部 僕らもそれが大事だと思っているんですけどね。

 伊原 若い子に対して、これから試行錯誤だな。

 阿部 そうですね。今はユーチューブだったり、いろんなツールでトレーニングの仕方が見れる。そういう知識はあるんですよ。でもそればかりでも良くないところもあると思うので。あまり見過ぎもよくないぞってことも言っています。たとえば、この子(目の前で練習中の増田陸)だったら、坂本と自主トレ行ってマネばっかりしているんですよ。マネが入るのもいいんだけど、やっぱり自分、増田陸っていうものをまずつくるのが先決だと。その後に坂本のいいところを取り入れろと言ったんです。マネばっかりしているので、お前がマネしても坂本勇人にはなれないぞって。ということをまあ僕から言ったらかわいそうなので(笑い)。ずっと去年から見ている村田(二軍打撃コーチ)が言ってくれたんですけど。そういういろんな子がいて逆に楽しいですよね。

 伊原 二軍は一軍に選手を送り込むのが大前提になるけど、勝敗にもこだわるのかい?

 阿部 両方求められると思います。そこはもちろん僕が負けていいやと思うことはダメですし、やっぱり勝っていきながら成長させてあげたいというのもあるので。だけど、その中でやっぱりチャンスは自分らでつかまなきゃいけないというのは言ったんですけど、それをつかめば一軍へ行ける。やっぱり一軍へ行って、目標はレギュラー取るっていうことも大事ですし。チャンスを伸ばすのも自分次第だし、つかむのも自分次第なんだからというのは言っていて。じゃあ、自分がどういう選手にならないといけないのか。一軍に行ったときにどう必要とされるのかっていうのを、やっぱり知らないといけないと思うんですよね。

 伊原 それは大事だ。

 阿部 ちゃんとバントも抜群にうまいですよとかっていうのだったら、使えるじゃないですか。もし一軍にポッと上がってきて大事な場面で(バントを)決めたら、ベンチからのこういうリクエストに応えてくれるから「ああ、じゃあ今度使ってみようか」となるじゃないですか。それがやっぱりチャンスのつかみ方っていうのもあると思うんですよね。そういうのも教えてあげようかなと思いますし。

 伊原 今日はいい話が聞けたよ。ありがとう。頑張ってください。

 阿部 はい、ありがとうございます。