猛威・新型コロナがプロ野球にも飛び火 そもそも選手が感染したら…

2020年02月21日 16時30分

マスク等の予防対策は講じているが…(ロイター)

 新型コロナウイルス問題が球界を直撃だ。厚生労働省は20日に大規模イベント開催について「開催の必要性を改めて検討するようにお願いする」との声明を発表した。自粛を要請するものではないというが、今後の感染状況によっては見直すという。キャンプ真っ盛りの各球団は見えない敵を相手に戦々恐々。1か月後の3月20日に開幕を控えるプロ野球はどうなってしまうのか――。

 恐れていた事態に球界が巻き込まれようとしている。「お互いの距離が十分に取れない状況で、一定時間いることが(感染の)リスクを高めるとされている。イベントなどの主催者には、感染の広がり、会場の状況などを踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただきたい」。加藤厚生労働大臣は20日夕方に専門家会議で出された意見などを踏まえ、多くの人が集まる大規模な集会についてのガイドラインを示した。

 キャンプ中の各球団は、これまでも各地で新型コロナウイルス騒動への対応に追われてきた。すでに多くの球団が選手によるサインやハイタッチなどの接触型のファンサービスを自粛し、マスクや消毒液を備えるなどの予防対策を講じている。だが毎試合数万人規模の観客を集めるプロ野球の試合こそ“大規模イベント”の筆頭格だろう。現時点では開催の自粛要請ではないものの、感染の波は日々拡大している。開幕まで1か月。その間に事態が終息すると考えるのは楽観的だ。

 厚労省のガイドライン発表を受け、ある球団の幹部は「考えたくなかったことだが…」と青ざめた表情でつぶやいた。目下の問題はオープン戦や練習試合の開催をどうするか。思い返されるのは9年前、東日本大震災後の対応だ。2011年3月11日の大地震発生以降、予定されていたオープン戦はほとんどが中止となり、調整の場として無観客での練習試合が組まれた。その後に原発事故の影響で電力不足が懸念されると開幕が延期に。東日本の球場での試合開催を見送るなどの措置が取られた。

 だが今回は見えないウイルスが相手だけに、当時よりも事態は深刻かもしれない。「野球観戦が原因の感染者が出たら集客はアウトだろう。ここまで広がったらそれも時間の問題だろうし、オープン戦に関しては無観客試合にすることも検討していかないといけない。ただ公式戦を無観客で行うのは損害が大きすぎる。じゃあ、延期できるかといっても簡単な話じゃないんだよ。電力問題と違ってメドが立たないのだから新たに日程を組み直すこともできない。正直、参った」。前出の球団幹部も頭を抱えた。

 今年のプロ野球界はただでさえ東京五輪のための強行日程を組んでいる。五輪期間中は一軍公式戦を中断し、その間は無観客での練習試合を五輪開催地以外で行うことが決まっているが、五輪すらどうなるかわからない状況では身動きが取れない。

 選手にとっても、もはや人ごとではなくなってきた。在京球団のある主力選手は「もし中止や無観客開幕になったら、僕らの年俸にも当然響きますよね。それに選手に感染者が出たらどうするんでしょう。『濃厚接触者は2週間隔離する』とかになったら、そのチームは試合できませんよね。どうなるんだろう」。また別の球団の選手からは「開幕を強行したところで、外国人選手が日本に来ないということもあり得るんじゃないかという話になっていますよ」との声も聞いた。

 球界は事態を見守っているが、今後も感染が広がり続ければ興行としての試合開催の是非を検討せざるを得なくなる。本来なら開幕が待ち遠しく心躍る時期に、コロナ騒動が暗い影を落としている。