西武・松坂の「21歳の240イニング伝説」に若手投手陣あぜん

2020年02月20日 16時30分

投球イニング数240回を記録した2001年の松坂

 投手王国再建を目指す西武投手陣が“松坂時代”の逸話の数々に大いに刺激を受けている。14年ぶりに古巣復帰した松坂大輔投手(39)は宮崎・南郷キャンプ最終日となった19日に今年初めて打撃投手を務めた。打者11人に55球を投げ、安打性の打球はわずか2本。松坂は「いい練習になった。純粋に楽しかった。いい緊張感と張りがあって思ったよりも疲れた」と2015年8月の右肩複合手術以来、ベストコンディションといっていい充実のキャンプを振り返った。

 わずか19日間で8度のブルペン入り。そして最終日の打撃投手登板と近年にないハイペース調整で西武復帰キャンプを終えた松坂は「自分が思っているよりも投げることができた」と晴れやかな表情。古巣復帰して何度も受けてきたファンの歓声に「一軍のマウンドで体験できたらいいなと思う」と復活を思い描いた。

 松坂の復帰に関してはこの短期間でもブルペンでの精力的な投げ込み、常に実戦での最悪を想定した取り組み、その言動が“本物のエースを見たことのない”若手投手陣に有形無形の刺激を与えてきた。一方で、今季から松坂とともに15年ぶりに復帰した同じOBの豊田清投手コーチ(49)の加入で西武がかつて「投手王国」だった時代の二枚エース(西口、松坂)、そして守護神が図らずも現場に再集結する格好となった。

 90年代後半~00年代前半の西武においてこの三者の実績は光り輝いており2年連続、チーム防御率パ・リーグワースト(18年=4・24、19年=4・35)に沈む現投手陣にとっては想像できない記録ばかり。第1クール最終日(4日)夜に行われた松坂や新人2投手、豊田コーチらを歓迎する「投手会」でもにわかには信じられない“おとぎ話”をさかなに酒席は盛り上がりを見せたという。

 昨年、初勝利を含む6勝を挙げ今季、先発ローテーション入りが期待される5年目の本田はその投手会で耳にした衝撃の数字をこう述懐する。

「松坂さんが高卒で入団して間もない時期に年間で240イニングぐらい投げたようなことを言っていた。自分が目指していることを考えた時に、さすがにそこまでは…と思いましたけど、もっともっとやらなければいけないんだなと痛感させられたし、その数字にちょっとビックリしてしまった。(同席していた)豊田さんも『松坂さんが投げる時は休みだった』と言っていました。西口さんもそうですけど(3人とも)レジェンドばかりなのでその記録は信じられないような数字ばかり。時代もあるんでしょうが、長くやるということを考えたらそういう選手に少しでも近づかないとと思いました」

 本田らを驚かせた松坂の数字は高卒から史上初の3年連続最多勝を達成した01年の投球イニング数240回1/3のこと。この年、21歳を迎えた松坂は15勝を挙げながら15敗を喫す「最多勝&最多敗戦」をマークしキャリア唯一の沢村賞にも輝いている。

 その背景には「登板した試合は最後まで投げ抜く」「自分の投げる試合は救援陣を休ませたい」というエースの気概があり、松坂は登板33試合で負け試合を含めた12試合に完投し、実に91%の30試合でその勝ち負けを背負っていた。

 分業が確立された現在、こんなむちゃな起用を西口、豊田の両投手コーチがするはずもないが、現場との橋渡し役・松坂の協力も得ながら“英雄達”の昔話をベースにした西武新時代の「投手王国再建講習会」が今後も折を見ながら開催されていくようだ。