巨人・吉川尚 ”幽霊”希望も…巨人ドラ1の宿命

2020年02月19日 16時30分

ロッテ戦で3安打と気を吐いた吉川尚

 巨人・吉川尚輝内野手(25)が猛アピール中だ。18日に行われたロッテとの練習試合(沖縄セルラースタジアム那覇)で走攻守すべてで輝きを放ち、辛口の首脳陣をもうならせた。正二塁手という長年の懸案もついに解消か、の期待も高まるなか、吉川尚にはレギュラー争いのほかにもう一つ、乗り越えなければいけない“試練”があるという――。

 底知れぬ能力の高さを改めて証明した。「1番・二塁」で先発出場した吉川尚は打っては3安打に1打点。守っても3回二死満塁で一、二塁間の打球をギリギリで好捕し、体を回転させながら一塁へのランニングスローでアウトにした。さらに脚でも魅せた。5回一死一塁の場面で一走の吉川尚は、次打者の右翼前への当たりで好判断。俊足を飛ばして一気に三塁を陥れた。本人は「今日はたまたまだったので、これからも結果として出せるように頑張りたい」と謙虚だったが、首脳陣から称賛の言葉が並んだ。

 原監督は「やっぱり良いと思いますね。ユニホームを着て元気にプレーできている。そこを続けてくれればね」。「さすが」と切り出した元木ヘッドコーチも「不安なく、自信を持って振っているよね。(好走塁は)ちょっと止まるフリをしてライトの動きを見ながらガッと行く。センスある」と賛辞を惜しまなかった。

 広大な守備範囲にシュアな打撃。三拍子揃った若武者の唯一の課題は、故障なく一年間戦えるかの一点だ。昨季も開幕戦から切り込み隊長として最高のスタートを切ったが、腰痛のため4月中旬に離脱。戦列復帰はかなわず、その後の二塁手は流動的な起用を余儀なくされた。吉川尚は今年もここまでは順調でレギュラー定着への期待が、かつてないほど高まっている。

 同時にもう一つの戦いも始まる。吉川尚に宿命付けられた「巨人のドラ1」の重圧だ。2016年のドラ1だが、入団後の3年間はリハビリ生活も長く、過剰にスポットライトが当たることはなかった。この日の会見では「今自分ができることでいっぱいいっぱいなので、あまり気にはしてないです」と語ったが、“本音”は別にあるようだ。

 チームスタッフによれば「尚輝がよく言うのは『僕のことはそっとしておいてほしい』ということ。活躍したからといって『完全復活』とか大々的に扱われたくないそうです」。もちろん、グラウンドでアピールはするが、理想は“幽霊部員化”することだという。過度な期待や注目を集めることで、自分のペースを乱してまた故障…というシナリオを避けたいそうだ。

 とはいえ、そうもいかないだろう。吉川尚は伝統球団の栄光のドラ1。ましてや、シーズン通じて坂本との二遊間コンビを結成できれば、より強固なセンターラインを形成できる。G党の期待も大きい。大きな注目を浴びる吉川尚は宿命付けられた試練を乗り越えることができるか――。