【大下剛史・キャンプ点検】本紙専属評論家・大下剛史氏による恒例のキャンプ点検がスタート。第1回は佐々岡真司新監督(52)率いる広島だ。気温14度、北風が吹きつける寒空の下で18日に初のシート打撃に臨んだドラフト1位ルーキーの森下暢仁投手(22=明大)には鬼軍曹も「やはりモノが違う」と感心しきり。投手陣再建のキーマンに指名した。

 間違えて北海道に来てしまったかと思うほど寒かったコザしんきんスタジアムで、ひときわ輝いていたのがルーキーの森下だった。初のシート打撃に臨み、打者14人に対して許した安打は鈴木誠が右前にポトリと落とした1本だけ。菊池涼や田中、西川といったレギュラーを相手にしてもひるむことなく、堂々たる投球だった。

 新人に過度な期待は禁物だ。現時点で何より大事なのはケガすることなくキャンプを乗り切ること。しかし、きれいで躍動感のあるフォームから繰り出される手元で伸びるスピンの利いたボールを見ていると、つい新人であることを忘れてしまう。投球リズムも良く、野手は守りやすいはず。佐々岡監督がほれ込み、昨秋のドラフトで単独1位指名を球団にお願いしただけのことはある。

 V奪回を目指す広島では、投手陣の整備が急務だ。先発の柱になるべき野村がキャンプ序盤にリタイアし、飛躍が期待される3年目の山口、遠藤は十分な結果を出せていない。守護神としてリーグ3連覇を支えた中崎も右ヒザの手術からのリハビリ中で、救援陣にも心もとない点はある。

 それだけに森下の加入は大きい。順調に先発の1枠を担ってもらえるなら、球に力のある岡田をリリーフに固定することも可能になる。単なる穴埋めにとどまらず、結果が伴うことでエースの大瀬良にとってもいい刺激になることだろう。

 古くは長谷川良平さんがつけ、現役時代の佐々岡監督や前田健太も背負った背番号18は期待の表れでもある。広島が投手王国となるうえで、森下がキーマンとなることは間違いない。

(本紙専属評論家)