【赤坂英一 赤ペン!!】筒香が去った今年、DeNAの宜野湾キャンプはどう雰囲気が変わったのか。旧知のチーム関係者に聞くと、こんな興味深い答えが返ってきた。「何か、メリハリがなくなったような気がしますね。毎日毎日、フワ~ッと始まって、フワ~ッと終わっている感じです」。筒香がチームリーダーを務めていた昨年までは練習前、「さあ、きょうも頑張りましょう!」と選手たちにゲキを飛ばしていた。練習中にもよく声を出し、チーム全体を活気づけていたという。そうした中心的存在の穴は、「予想していた以上に大きい」というのだ。

 ラミレス監督は4年目のスラッガー佐野を主砲兼主将に指名。オープン戦開幕戦となった16日の巨人戦では4番・左翼に抜てきした。が、結果はノーヒット。チーム内でも「まだまだこれから。長い目で見ていくべき」という声が聞かれる。

 そうした中、佐野の前の2番に入った新外国人オースティンが大爆発。第1打席でオープン戦初打席初本塁打を放つと、2打席連続で左翼へも本塁打をかっ飛ばした。ラミレス監督は「初の試合でこれだけの結果を出した外国人は見たことがない」と絶賛。「ずっと2番を打たせるつもりはない。オースティンには様々な打順で毎試合出場してもらうよ」と、4番への抜てきも示唆した。

 田代チーフ打撃コーチも、こう評価している。「中日との練習試合(13日)から、いいな、力を持ってるな、と見てたよ。最初の打席で小笠原からすごい打球を打ってさ、風に戻されて左飛になっちゃったけど、あの打球は本物だと思ったな」

 現役時代に長距離砲として鳴らした田代コーチだけに、「凡打にも内容があった」ことを抜かりなくチェックしていた。「外国人ではソトもいいぞ。今年はだいぶ状態が上がってる」そうだ。

 そのソトは今年、内外野兼用から一塁に固定される予定だ。私が取材に行った15日は、定位置を争うロペスと早出の守備練習をしていた。

「監督の方針で、今年のソトはロペスと競争ですよ。2人の早出特守は今日で3回目。ソトの動きはいいし、結構張り切ってますね。彼は外野より内野のほうが打撃にもプラスになるらしい。一番好きなのはやっぱりセカンドだそうですが」と、ノックを浴びせていた永池コーチ。ポスト筒香争いはこれからますますシ烈になりそうだ。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。毎週金曜朝8時、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」出演中。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」(講談社)などノンフィクション増補改訂版が電子書籍で発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」(PHP文庫)など。最新刊は構成を務めた達川光男氏の著書「広島力」(講談社)。日本文藝家協会会員。