鬼軍曹のボルテージが上がってきた。巨人の春季キャンプは折り返しを迎え、一軍が沖縄入りし、宮崎に残留するファームは二、三軍に振り分けられた。沖縄行きの切符をつかみ損ねた面々を待ち受けるのは阿部慎之助二軍監督(40)。公開説教に懲罰ノック…と、らしさ全開となってきたが、さらなる“恐怖プラン”も浮上している。

 本領発揮はこれからということか。キャンプ後半戦を前に一軍は14日に宮崎から2次キャンプ地の沖縄へ移動。一方、合同キャンプを行ってきたファームも二軍に24人、故障者を含む三軍30人に分けられた。宮崎に残る選手たちは開幕一軍から後退した格好。もちろんチャンスは残るが、阿部二軍監督を納得させる結果を残さなければ一軍への道は開けない。

 指導者として迎えた初のキャンプで、鬼軍曹はやや控えめなスタートを見せていた。初日から声を上げながら右へ左へノックを乱れ打ったが、若手に活を入れても「オ~イッ!」とどこか“安全運転”。それでもファンからは笑いや拍手も起こったが、日がたつにつれて“ドSっぷり”が白日の下に…。フレーズも次第に「テメ~!!」「コノヤロ~!!」にグレードアップし「最初のころは我慢していたんだろうけど、もう完全に“地”が出ちゃってるな…」とベテランスタッフも苦笑いするほどだ。

 そして、とうとう就任後最大のカミナリも落ちた。13日の紅白戦で4四球を与えて自滅した2年目の直江を途中降板させ、ベンチで大説教。試合後には先頭打者に四球を出した育成2年目・ラモスもろとも1時間近い「懲罰ノック」でシバき上げた。

 地金が出てきた感もある阿部二軍監督だが、底はまだまだ見えない。ここへきて不穏な情報も浮上してきた。球団スタッフによれば「二軍の方から『運動公園内で使っている自転車を宿舎まで使わせてくれないか?』という話も持ち上がっている」のだ。今キャンプでは近隣の練習場への移動効率を上げるため、阿部二軍監督が自転車を導入。ということは…。「施設外で使うとすれば、何らかのペナルティーで使おうとしているのでは」(前出スタッフ)と表情を引きつらせた。

 ただ、二軍首脳陣からはこんな声も聞かれた。「阿部さんがその気になったらチャリなんか使わせないよ。練習でクタクタになっていようが、自分の足で走らせると思う。昭和だから。だから、読売巨人“軍”って強調したんだと思う」

 球場から宿舎まではおよそ5キロの道のりがある。体力のあるプロ野球選手であっても、鬼監督の猛しごきを受けた後の罰走はこの上ない地獄となるに違いない…。時に「技術じゃねえ! 体力と根性だ!!」と手厳しいゲキを飛ばす阿部二軍監督。恐怖の日々から抜け出すには実力ではい上がるしかない。