常勝軍団のメンタリティーが虎に波及中だ。ソフトバンクから今季、阪神に加入した中田賢一投手(37)、ロベルト・スアレス投手(28)の評価が、沖縄・宜野座キャンプで日に日に高まっている。

 金村投手コーチは、2014年から6年間ソフトバンクに在籍した中田を例にこう話す。「もうベテランと呼ばれる年齢なのにとにかく元気。本当に試合以外でも『勝負してやる』という気持ちを感じる。ホークスは練習での走り込みの量もかなり多いと聞いたけど、中田は若い選手と同じ数をいつも普通にやっていたと聞いたよ」

 ソフトバンクは昨季まで3年連続日本一の常勝軍団。巨大戦力を誇り、一軍で居場所をつかむには毎年、ハイレベルな競争に勝つことが要求される。そんなチームでもまれた中田とスアレスの意識や姿勢が、35年ぶりの日本一を狙う阪神投手陣の推進力になるというのだ。

 中田も「仲がいい中にも、バチバチに意識し合っていた雰囲気があった。若手もベテランも関係なく、投手も打者も、あいつが結果出したのなら俺も、という意識は常に持っていた」とソフトバンク時代を振り返る。4年間在籍したスアレスも「とにかく何事にも常に“勝ち”を意識していた。練習はもちろん、他のことも。その精神をみんなが持っていて、自分も学んだ」という。

 そんな2人がシート打撃や紅白戦などの実戦でも「勝負」にこだわる姿勢を見せ続ければ、投手陣にもより引き締まった空気感を与えることにもなり、士気も高まる。生存競争の厳しいソフトバンクで昨季の一軍登板は中田は1試合、スアレスは9試合にとどまったが、新天地では多くの役目を担っている。