ソフトバンク・柳田悠岐外野手(31)が宮崎春季キャンプの13日、B組のフリー打撃で驚がくの一発を放ち、ファーム首脳陣の度肝を抜いた。右肘手術明けのためリハビリ組スタートの大砲が、1月からバットを握り始めたとは思えない打棒を披露した。

 放物線の力強い弾道と飛距離が順調な調整をうかがわせた。その一打こそが驚きの場外弾だった。宮崎市生目の杜運動公園サブ球場の右翼フェンス後方には高さ20メートルの防球ネットがそびえ立つ。強烈なインパクトでかち上げるように振り抜いた打球は、その牙城をあっさりと越えた。

 見守った小川二軍監督も「今のネット越えたよな?」と口をあんぐり開くほどのインパクト。それもそのはずだ。一緒にフリー打撃を行った若手のほとんどが、なかなかフェンスまで打球が届かない中での異次元の一発だったからだ。

 これには柳田本人も「越えたんすか?」と懐疑的だったが、多くの証人がいたことを伝えると「まあ、飛ぶボールだったんでしょう」とおどけながらも「なかなかないことでしょうね」とニンマリだった。

 過去には車の破損と歩行者の安全確保のため、B組メンバーながら打撃練習のみA組のメーン球場で行う特例措置が取られたこともある柳田。そんな逸話もあるだけに、藤本三軍監督が「車のフロントガラスが割れたらしいぞ」と冗談をかまして、大砲を笑わせた。

 手術明けとは思えない驚がくの大飛球は、順調な回復と調整を証明するもの。これには森ヘッドコーチも「いい知らせが聞けてよかったよ」と大喜びだった。「(故障に泣いた昨季の分を)今年は取り返すシーズン。すべてでキャリアハイを超えていきたい」と意気込む柳田。この日、A組では紅白戦が行われファンの注目を集めたが、その裏で鷹の大砲が隠し切れない存在感を放った。