先発、リリーフとして通算206勝193セーブを誇る江夏豊氏(71)が11日に逝去した野村克也さん(享年84)を悼んだ。

 江夏氏は阪神から1976年に南海へ移籍し、選手兼監督だった野村さんとバッテリーを組んだ。そんな2人を語る上で外せないエピソードが移籍2年目の配置転換だ。火消し転向が屈辱的な“降格措置”と受け止められていた時代に、野村監督の度重なる説得の末

「野球界に革命を起こしてみい」との言葉が決め手となり、リリーフ転向を決心。今につながる投手分業制の起点となった。

 江夏氏は「一言、二言じゃ語れない。それで済む問題じゃないんだ。まあ、俺にとっては大恩人だよ。革命か…。うーん、そうだな。俺の野球人生、半分はあの人がつくったんだからな。大感謝しているよ」と当時を回想した。

 最後に会ったのは、昨年の巨人―阪神戦を東京ドームで観戦した際。最近は野村さんの息子・団野村氏から電話などで近況を聞く程度だったという。最後は「一言、二言じゃなぁ。そういう間柄だったんだ…本当に。これだけしゃべったら、もう十分だろ」と、恩人に深い哀悼の意をささげた。