ソフトバンク・甲斐拓也捕手(27)が尊敬するホークスの大先輩の死を悼んだ。

 野村克也さん(享年84)の突然の訃報は、今季から背番号19を受け継いだ甲斐にとって大きなショックだった。高校時代から野村さんの著書を読みあさり、捕手としての矜持を学んだ。ともに母子家庭。生い立ち、境遇が似ていた。テスト生からプロとなった野村さんも、育成入団の甲斐を気にかけてきた。

 2人の交流がスタートしたのは3年前。琴線に触れる言葉を事あるごとにかけられた。「功は人に譲れ」という金言を胸に、今は「野村流の捕手道」を自分色にアレンジしている最中。「母ちゃん大事にしろよ」という言葉は、苦しい時に今も思い返す。

 最近では野村さんの著書に自身が登場するようにもなった。甲斐の母親を思ってか、野村氏が大分の実家にわざわざ新作を送ってくれたこともあった。

 2018年春「俺の背番号をつけてくれよ」と本人直々に懇願されると、その年のシーズンオフに甲斐は球団に直談判。思いが通じ、ようやく今季から念願の背番号継承が実現した。

 師匠にユニホーム姿を披露する日を待ちわびていた中での悲しい知らせ。「直接見てもらいたかったし、見せたかった。見せられないのは寂しい。この19をつけて頑張っていかないといけないし、いい姿を見せたい」。天国の恩師へ、さらなる成長を誓った。