日米170勝右腕の現在地は――。巨人の宮崎キャンプ第2クールが9日で終了した。紅白戦を3試合消化。第3クール、そして実戦が続く沖縄2次キャンプに向け選手がふるいにかけられていく中、いまだ復帰ロードを模索しているのが岩隈久志投手(38)だ。少しずつ段階を踏んでいるとはいえ、そのスロー調整ぶりに原監督の“愛想”も尽きてしまうのでは、と懸念されている。

 日程こそ、おおむね順調にこなしてはいるものの坂本、澤村らがインフルエンザ発症というアクシデントもあった。原監督は「インフルエンザ等々も出たというね。その辺はやや不安材料もありましたけれども、まあ、第3クールは階段を上るという中で迎えたいと思います」と淡々と振り返った。

 サバイバル、ハングリー精神をあおられ、Gナインは厳しいキャンプを送っているが、その一方で、岩隈はリハビリ組で静かに我慢の調整を続けている。「(状態は)上がってますよ」と気丈に語るが、その道のりはあまりに遠いのが現状だ。

 公の前でブルペンの傾斜を使っての投球を披露したのは、キャンプでは8日が初めて。しかし、プレートのやや手前からの投球だった。9日もブルペンで変化球こそ交えたが、傾斜を使うことはなく力の入れ具合も3~4割程度だった。

 2017年に手術した右肩の状態がなかなか上向かない中、昨年10月に鼠径ヘルニアの手術を受けた。それもあって、オフも継続してトレーニングに励み、そのままキャンプに突入した。

 原監督によればキャンプインする数日前、岩隈に電話で肩の状態を聞くと、その返答は「50%です」。思わず「お前、去年より悪いじゃないかって」と笑いに変えて語っていたが、周囲の声は少しずつ厳しいものになっている。

「正直、その話を知ったとき『まだ50%なの!?』と思ってしまった」という反応が少なくない中、球団関係者の一人は「(古巣の)楽天の人から聞いているのは…」と前置きしつつ、こう語った。

「調整ペースを含め、自分のコンディション“オンリー”で動く岩隈に『チーム状況や周囲の動きに、あまりに無関心なのでは』と思われていたことがあったと。実際、それを良く思わない選手や関係者もいたと聞いている。心配なのは、原監督が同じような印象を抱いてしまわないかということなんです」

 チームへの献身性をことのほか大事にするのが原監督だ。しかも、ケガによる離脱に対しては「職場放棄」と手厳しく、離脱中の振る舞いに関しても「ケガをしたら堂々と休めると思っていること自体がだいたいダメ」と語ったことがあるほど。あらぬ誤解だけは避けたいところだが…。

 第3クールにはプレートを踏んでのブルペン投球へとステップを踏む可能性も示唆した岩隈。背番号21が復活のマウンドに上がる日はいつになるのか。