頼もしすぎる。ヤクルトの黄金ルーキー・奥川恭伸投手(18=星稜)が4日に宮崎・西都で行われている二軍キャンプで復活へのステップを踏んでいる。新人合同自主トレ中は右ヒジの軽度の炎症でノースロー調整だったが、キャンプインと同時に“解禁”となり調整は順調そのもの。そんな燕の未来を担う背番号11にエース論を聞いた。

 この日の午前中に星稜の林和成監督(44)が西都キャンプを訪れ、会話を交わした奥川は笑顔をはじけさせた。さらに恩師の前で前日3日に続きネットスローを行った。最初は20メートルの距離から17球。そして25メートルから38球と星稜の大先輩でもある松井秀喜氏(45)の現役時代の背番号と同じ「55」球を投げた。

 ネットスロー2日目だが奥川は「全然まだ(力を)入れてないです。一歩ずつなんで。2、3割? それぐらいです。(指のかかりは)まだまだですね。投げ始めなので、これからという感じです」と話した。第2クール中にキャッチボールを再開し、順調ならばキャンプの最終クールで立ち投げでのブルペンを行う。「(今は)いろいろ試しながらですね。まだ始まったばかりなので、ちょっとずつやっていきたいです」

 現在、ヤクルトの先発ローテーションは右の小川と左の石川の2人の投手に支えられている。小川は30歳、石川は40歳を迎えるシーズン。それだけに遠くない未来にエースの座に就くことが望まれる奥川に本紙は「エース論」を聞いた。

 燕の金の卵は「一番は勝つことですね」と切り出した。しかし「勝つだけじゃダメで、大事な試合を任されて、チームの雰囲気を変えられる投手です」とも続けた。「チームには1年間、波があると思うんです。それで、チームが落ちている時にいい方向に変えられる選手(がエース)だと思うんです」。チーム状況も頭に入れるなど、18歳のルーキーとはとても思えない頼もしい言葉だ。

 理想形は自身が憧れるヤンキース・田中将大投手(31)だ。そして奥川自身が「エースになった」と思うよりも「他の人が見てもエースと認められる選手」がエース像だという。

 18歳にして独自のビジョンを確立している奥川が「エース」と呼ばれる日はそう遠くはないかもしれない。