西武・栗山巧外野手(36)がライオンズの伝統としての“松坂への恩返し”を語った。

 14年ぶりに古巣復帰した松坂大輔投手(39)のフィーバーに沸く西武の南郷キャンプ。初日の2500人に続き、日曜日の2日も3500人のファンが訪れ、松坂が臨時の初サイン会を開くなど宮崎県南部の小さな町がレジェンド帰還フィーバーに沸いている。

 一方で古巣帰還で当の松坂は浦島太郎状態。14年前とは一新されてしまったひと回り以上違うヤングレオとの距離感をなかなかつかめずにいた。しかし、2日の練習前にはストレッチ中の松坂と8年目の相内誠投手(25)が何やら笑顔で談笑。「別になんてことない話ですよ。昔、松坂さんが履いていたシューズメーカーと弟さんの話をしただけです。自分は人見知りしないんで」という相内に周囲の投手陣は「お前すごいな!」と羨望の声が飛んでいたという。

 そんなレジェンドとナインが打ち解けるきっかけを作ったのはキャンプイン前日の夕食会場で一人食事をしていた松坂のもとに自分を慕う木村と同じく新加入の森越を呼んで一緒にテーブルを囲んだミスターライオンズ・栗山の名アシストがあったから。

 その光景を見ていた辻監督が「栗山はそういう気遣いのできる選手。これから一緒に生活していく上で若い選手には(松坂から)何かを学んでいってほしい」と感謝したほどだった。

 この行動について栗山は「気遣いと言われるとちょっとね。その行動が重くなっちゃいますから。松坂さんが一人だったんでパッと行っただけですよ。周りを見たら僕らぐらいしか年齢の近い層がいなかった。なんぼ同じピッチャーでも10以上も年の離れた選手のテーブルに(松坂が)入って行くのは難しいでしょう」と謙遜。続けて「ボクがこのチームでは長いですから。(若手は)行きたくても行けない思いもあるんじゃないですか。でもそれは最初だけ。これからは全然大丈夫だと思います」と語った。

 栗山にとって今回の行動は先輩から脈々と受け継がれてきたことの継承でしかないという。

「ボクだったら中島さんだし、中島さんだったら松坂さんであり、赤田さんであり(松井)稼頭央さん。みなさん思いやりのある行動ができる人ですよ。結局、西武って(先輩から後輩に)受け継がれてきたものって、周りがやりやすいようにだったり好き勝手やってよという環境作りが脈々と受け継がれてきたんじゃないですか。若い子が気兼ねなく自分を出せる環境作り。ボクがちょっとライオンズの系譜の中では地味過ぎるんですけど、ようやく(森)友哉とか今井とか(高橋)光成とかが出てきて。高卒の主力というのがウチの伝統でもあるし、そういう子たちがノビノビやってる。あれでいいと思うんですよ。でも気い使えない人なんていないですよ」

 そういって栗山は駆け出し時代、雲の上の存在だった松坂への伝統継承の感謝と恩返しの気持ちを表現していた。