「令和の怪物」に“カネやんの遺言”が託された。ロッテのキャンプ地先乗り合同自主トレが27日に石垣市営球場でスタート。ドラフト1位の佐々木朗希投手(18=大船渡)ら新人7選手を含む若手23選手がさっそく汗を流した。いよいよプロの世界でしのぎを削ることになる163キロ右腕を巡っては、ロッテOBたちが通算400勝投手で元監督の故金田正一氏と運命的なものを感じているという。

 南国・石垣島でも「令和の怪物」は精力的だった。アップや遠投、ノックなどのメニューを終えた佐々木朗は、ブルペン裏に向かって先輩投手の投球を凝視。目を皿にし、息をのんで一球一球を見守った。室内練習場から球場への移動時には、隣接する陸上競技場で我慢できずにトラック走を敢行。張り切るルーキーの姿に触発されたのか、同じ東北出身で昨季はチームトップタイの8勝を挙げてプチブレークした種市篤暉投手(21)も加わり、2人揃って約2周を駆け抜けた。

 練習後はたっぷりとストレッチを行うなど体のケアに努めた佐々木朗は「とても暖かいですし、今日は暑くもなくやりやすかった。先輩方は一人ひとり良さが違って、そういうセールスポイントが見られた。種市さんには優しくしてもらって頼もしい。年齢も近いですし、頼れるところは頼っていきたい」と話した。

 そんな黄金ルーキーに、ロッテOBたちは金田氏との“縁”を感じている。「偶然なのか、金田さんが天国へ旅立った直後、ロッテへの朗希君の入団が決まった。OBとしては何か運命的なものを感じます」。というのも金田氏がロッテ監督時代に待望していたのが、佐々木朗のような「国民的スター」を目指せる逸材だったからだ。

 実際、金田氏は当時のロッテナインたちによくこんなハッパをかけていたという。

「いいか、お前たちも紅白歌合戦に出られるぐらいの活躍をして世間様を驚かせ、チームを引っ張ってみい!」

 毎年大みそかにNHKで放送される紅白歌合戦では、その年に活躍し、世論の支持を得られたアスリートや指導者らがゲスト審査員として招かれるが、これまでロッテからの紅白出演はゼロ。金田氏は現役時代の1957年、球界からの審査員第1号として紅白に出演した経緯があり「紅白に呼んでもらえるぐらいビッグになれ!」と言いたかったのだろう。

 佐々木朗も金田氏について「偉大な方だと思う。(自分も)勝てるピッチャーを目指していきたい」と話しており、現時点でもその注目度は、プロデビュー前ながら群を抜いている。さすがに今年の年末に紅白出演とはいかないだろうが…。近い将来「ロッテ初」となる偉業を次々と達成してくれることを、OBたちは願っている。