ソフトバンク・松田宣 「40歳現役保証」を見送ったワケ

2020年01月24日 16時30分

目標をしたためた色紙を持ち、熱男ポーズを決める松田宣

 流儀を貫き「40歳現役保証」を蹴った。ソフトバンク・松田宣浩内野手(36)が23日に、福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、5000万円増の年俸4億5000万円(推定)プラス出来高払いの2年契約でサイン。今回の新契約を巡っては、熱男なりの深慮で長期契約を見送った。春季キャンプ目前、大トリでの越年更改となった裏には、安住を捨てたミスターホークスの覚悟と野望があった。

 髪を黒染めしてグレースーツに身を包んだ松田宣は、真剣なまなざしで会見に臨んだ。「新たに2年契約を結びました。もう一度、この2年やってやるぞという気持ちです」。昨季限りで満了した4年契約の間、全試合に出場。「積み重ねてきたものを続けていきたい」と所信表明した。

 昨季はチームで唯一143試合に出場して、2年連続30本塁打をクリア。安定した守備で三塁手として7年連続のゴールデン・グラブ賞にも輝いた。シーズン終了後は日本代表としての活動もあり、チームで唯一の越年更改が決まっていた。プレミア12、日本一旅行、正月、グアムでの自主トレ中、自らの野球人生を熟考したことが越年の真相だ。

「安住」か「勝負」か。球団からの誠意で複数の条件提示を受けた。だが、選択肢自体は早い段階で絞り込んでいた。それは契約年数が「4年」と「2年」の2択。ベースはほぼ変わらなかった。5月に37歳を迎える。メジャー同様、高齢選手への見切りが早くなっているNPBにあって、プロ野球選手としては前者を選択するのが普通だ。

 40歳現役を保証する大型契約を蹴って、なぜ2年契約を選んだのか。会見では「違う案もあった。別の案を選べば、もっとゆっくりできると思ったけど、逆にそれだと自分の力は出せないと思った」と明かした。故障しない強い体と精神力は年々すごみを増し、経験値も技術も上がっている。真意の根底にあったのは「今が僕の野球人生のピーク」という自信だった。

 伸び盛りの若い選手は一年一年勝負して昇給を重ね大型契約をつかむ。プロ15年目を迎える熱男も理論は同じだ。2021年シーズン終了後にキャリア最高契約を結ぶことを本気で狙い、それをモチベーションにすることで選手としての寿命も伸びると考えている。

 日の丸への思いも人一倍だ。今夏には東京五輪、来年にはWBCも控える。昨年12月には「日本プロ野球選手会」の新理事長に選任された。野球離れを憂い、普及、振興への思いは強い。グラウンド内外で先陣を切って2年間を全力で駆け抜けることが、自身と日本球界の発展につながると信じている。

「複数年契約を用意してくれた球団に恩返しがしたい。3年連続30本、オリンピックでの金メダル、これが2020年の大きな目標。これから先は自分との闘いです」。東京五輪金メダル、リーグV奪回、日本一4連覇、さらにその先も中心には熱男がいる。