打棒復活を目指すソフトバンクの内川聖一内野手(37)が、5日の試合を最後にマットを去ったプロレスラー・獣神サンダー・ライガーの魂を胸に秘めて2020年シーズンを戦い抜く。

 昨季は規定打席に到達しながら打率2割5分6厘。「もともと打つことで評価されてきた人間。10割を目指していってどれくらいの数字が残るか。結果に対して後悔しないようにしたい」。自主トレではここ数年で生じた打撃の感覚のズレを埋めるべく、早朝7時半から8時間にも及ぶ野球漬けの日々を送る。

 そんな内川が「そりゃ寂しいですよ」と口にするのがライガーの引退だ。プロレス好きで、過去にはオフのテレビ番組で共演を果たして大喜びしたこともあった。31年にわたるプロレス人生に幕を下ろした「世界の獣神」は自身にとってどのような存在だったのか。

「長くやるということはすごく大変なことだと思うけど、自分の可能性をそこで止めないんだというところがすごいなと思いますね。(レスラーとしては小柄で)ジュニアでやっていたのが(サイズが上の)ヘビーと対戦したりとか、自分の体の制限の幅を超えるところまで挑戦するというのってすごいなと。進化していくという思いが勉強になるというか、僕らからすると力をもらうという感じですよね」

 ライガーのプロレス人生を自分と重ね合わせ、内川は「現状維持ではダメだと思っている」と話す。ベテランになっても打者として頂点を目指す思いは変わらない。「年齢がどうこうを考えると、どんどん弱い方向に走ってしまいそうなので、そこには気持ちを向けずに、その場でできることをやって1年を全うしようと思ってます」

 自らに限界を設けない。希代の安打製造機が再びヒットを量産する。