球春到来へ、いよいよ新監督もギアチェンジだ。巨人は17日に原辰徳監督(61)を含めたコーチ会議を行い、春季キャンプに向けた概要と方針を確認した。そのキャンプ最大の目玉となるのは阿部慎之助二軍監督(40)だろう。現役生活にはピリオドを打ったが、自らもキャンプへの準備を本格化。若手の底上げに使命感を燃やす一方で、ファーム内で浮上していた“逆1000本ノックプラン”は立ち消え寸前となっている。

 ジャイアンツ球場で行われたコーチ会議には原監督をはじめファーム首脳陣も集結し、今後の方針について話し合われた。後日開かれるスタッフミーティングで最終決定されるが、キャンプメンバーも振り分けられ、新人からは育成ドラフト1位の平間隼人内野手(23=四国IL徳島)、そして黒田、八百板、与那原の育成計4選手が一軍に抜てきされる。

 また、2次キャンプ地の沖縄から一軍に合流予定だった坂本、丸ら「S班」の4人は宮崎キャンプ中の2月11日から合流。原監督は「そのへんから準備していけば、沖縄でもスムーズにいくのではないか」と前倒しする意図を説明した。

 キャンプが近づくにつれ、この男にも力が入ってきた。大きな注目を集める阿部二軍監督だ。チーム内では「ちょっと締まってきた感じがするね」ともっぱらなのだが、本人は「全然仕上がってないですよ。(オフは)まったく動いてない。顔もスッキリ? 黒いからでしょ。(肩も)仕上がってないよ。今日(肩の治療の)注射打ってきたんだから…。キャンプのために」とまだまだ納得がいかない様子。

 ただ、このままにするつもりはない。「(若手たちに)僕もいい見本を見せられたら。僕もちゃんと練習して、やってみろと言われたらできるように」と本格的な追い込みをかけていくつもりでいる。

 最近では遠投などにも取り組み、自ら体を動かす阿部二軍監督。その姿に、周囲の見方にも変化が表れている。二軍監督就任当初にファーム内で持ち上がっていた“逆1000本ノックプラン”も計画倒れとなりそうな雲行きなのだ。

 以前には「ほっといたらまったく動かなくなるかもしれない。二軍のコーチ陣を中心に慎之助をうまく乗せて、キャンプでノックをバンバン打たせるとかしないとね。現役を引退して何もしなければ体もどんどん大きくなっていくだろうし、何よりも一番のお手本が動けない体になったらもったいなさすぎるよ」(ベテランスタッフ)との声が上がり、二軍コーチも「僕らで阿部さんを何とかしないといけない」と大乗り気だった。

 ところが、阿部二軍監督の意気込みを聞く限り、そうした周囲の心配は杞憂に終わりそう。前出のスタッフも「大丈夫そうだね」とひと安心で、周りが妙な気を回さなくても阿部二軍監督は猛ハッスルしそうだ。