巨人の宮崎春季キャンプでは坂本勇人内野手(31)や丸佳浩外野手(30)ら主力4選手が一軍本隊を離れ「S(スペシャル)班」としてファームに合流する。陣頭指揮を執る阿部慎之助二軍監督(40)は4人を生きた教材として若手育成にフル活用する方針だ。ただ、原巨人による2016年キャンプ以来となる特別枠復活の“思惑”は別にもあるようで――。

 原巨人のリーグ連覇と日本一奪取に向けた戦いが間もなく本格的に幕を開ける。一軍とファームのメンバー振り分けは後日決定されるが、すでに特別枠が設けられる方針は固まっている。昨秋のプレミア12にも招聘された坂本と丸、ベテランの亀井と炭谷は2次キャンプ地の沖縄から一軍に合流する見込みで、宮崎ではファームでマイペース調整となる予定だ。

 とはいえ、単なる個別調整では終わらない。首脳陣は若手育成のツールとして最大限利用する。一軍の宮崎キャンプ中に4人を管轄することになる阿部二軍監督は「若い選手のお手本になってほしいから。これとこれだけはやっといてくれっていうのは言って、あとは自分のペースでやってくれと。もう(坂本)勇人には言ってある」と狙いを明かした。

 ファーム首脳陣の構想では、この4人を別々のグループに割り振り、同組となった若手たちと行動を共にしながら打撃、守備練習などを行う。そこで実演披露だ。まさに百聞は一見にしかず。シーズン中はほぼ接することがない現役一流プレーヤーの“ナマ”の動きはヤングGたちにも大いに参考になるだろう。

 ただ、若手の手本として立ち回るだけが目的ではない。坂本ら4選手に対する“コーチ修業”という意味合いもあるのだという。

「まず自分の練習をすることが大前提になるけどね。彼らは今後のチームを支えていく選手たちと接しておく必要もある。今のうちからね。人に教えることは今後の本人たちにとっても勉強になる。教えることで新しい発見があるかもしれない」(球団関係者)

 坂本らが引退するのはまだまだ先の話だろうが、いずれは指導者になり得る十分な実績を持ち合わせる。選手からコーチになって直面する壁の一つが、自分の考えや助言を選手に伝える難しさ。こうした課題に早くから取り組んでおけば、シーズン中もチームメートに対してアドバイスを送ることもスムーズとなるだけでなく、セカンドキャリアに生かせるというわけだ。

 二軍首脳陣は、この4選手に対して若手を指導する権限も与える方針で、坂本らは事実上の「兼任コーチ」として宮崎キャンプを送る。

 阿部二軍監督を筆頭とする豪華首脳陣に加え、主力4選手も集結する二軍キャンプは大いににぎわいそうだ。