本紙評論家・伊勢氏が指摘「阪神ドラゴンズでもいいじゃないか」

2020年01月14日 16時30分

高山(右)を指導する井上コーチ

【新IDアナライザー 伊勢孝夫】今季の阪神は矢野監督、清水ヘッド、筒井コーチらに加え、井上一樹打撃コーチ(48)が新加入。山本昌氏も春季キャンプに臨時コーチで参加するなど「阪神ドラゴンズ」とやゆされるほど中日色が強まっている。特に井上コーチは“落合門下生”でもある。伝統の縦ジマに、外様コーチはどう接していけばいいのか…。本紙評論家の伊勢孝夫氏が自らの経験も踏まえ、注意点を指摘した。

 山本昌にしても井上にしても、秋季キャンプの評判はなかなか良かったと聞いている。山本昌に関してはあれだけの実績のある投手なので選手は敬意を表すだろうし、しっかりと話を聞くはずだ。山本昌もコーチ経験がないので選手としてやってきたことを素直に伝えていけばいい。私は藤浪が2桁勝てれば優勝もいけるとみている。左右の違いはあるし、力で押す藤浪と、配球とコントロールの山本昌ではタイプも違う。キャンプでそのあたりを藤浪がどう消化できるかだ。

 気をつけないといけないのは打撃を受け持つ井上だろう。外様コーチに対し、選手は「どんな指導をするのかな」「何を言ってくるのか」と思っている。手っ取り早いのは伸び悩んでいる選手にとことん付き合ってあげることだ。そうすることで周りの見る目も変わってくる。

 例えば高山を再生させたり、前任者の浜中ができなかったことをうまくやっていけば「このおっさん、おもろいな」「俺も話を聞きたい」というふうになる。伝統と人気のある阪神にセ・リーグのライバル球団から来たコーチが溶け込むのは時間がかかるかもしれないが、元同僚の福留という協力者がいるのは大きいだろう。

 それから選手を指導する際に「落合さんは…」「中日では…」と口にしないことだ。10人に3人は「ここは阪神だ!」と思うへそ曲がりがいるものだ。私も1987年に広島のコーチ、2007年に巨人のコーチをやって外様のやりにくさは経験しているが、その時に「近鉄では…」「ノムさんなら…」と一度も言ったことがない。そこは用心した方がいい。

 落合監督の下でやってきた井上は落合野球を十分わかっているはずだ。当時の中日はホームゲームにめっぽう強かった。落合はイニングごとにベンチを立って裏に行っていた。トイレにしては多すぎるし、何か特別なデータを確認していたのか…。その動きは敵として不気味だったし、地元に強い秘密があったのかもしれない。井上はそのあたりのこともわかっているだろうが、そこを「落合流」ではなく、自分の考えとして選手に伝えるのが大切だ。「阪神ドラゴンズ」と言われようが気にせず、遠慮せずにやってもらいたい。