ロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希投手(18=大船渡)の“逆算力”に、早くも期待が高まっている。10日に東京ドームホテルで行われたNPB新人選手研修会では、12球団の新人選手が一堂に集結。午前の部で昨年亡くなった元ロッテ監督、金田正一氏の追悼記念展示を前に前人未到の400勝へ思いをはせたが、佐々木朗が思い描く目標達成への道のりとは――。

 いよいよ始まるプロ野球人生のスタートに、偉大な故人の功績に触れた。

 午前の部での野球殿堂博物館見学。佐々木朗ら各球団のルーキーたちは、前人未到の400勝を挙げた元ロッテ監督、金田正一氏の追悼記念展示の前で足を止め、その歴史に思いをはせた。

「400勝はとてもすごい数字。自分は400勝もできるかわからないですけど、少しでも近づけるように。これからすべてのことを野球と結び付けて逆算していかないといけない」(佐々木朗)

 午後の部の講義ではレンジャーズなどで活躍した建山義紀氏から目標を立てることの重要さを教わった。「目標を設定して、そこから今やるべきことを逆算していく。打率3割を目標にするなら、速い球を打てなきゃいけない、速い球を打つためにはスイングスピードを上げなきゃいけない。スイングスピードを上げるためにティーバッティングをする」と例を示した建山氏。真剣な表情で講義に耳を傾けた佐々木朗は、400勝という途方もない目標に対し、あえて“逆算”という言葉を用いて現実味を持たせた。

 そんな佐々木朗の“逆算力”に、地元・大船渡の関係者は太鼓判を押す。幼いころの佐々木朗をよく知る大船渡OBは「高校では『在学中に160キロ』という目標を立てて、見事に有言実行を果たした。けがに泣いた中学時代はけがをしにくい体をつくる、そのための柔軟性を鍛える、だから朝晩のストレッチを欠かさないと順序立てていた。今はプロでの体をつくるためのウエートや食事に取り組んでいるし、もともとそういう考え方のできる子。400勝も、ひょっとするかもしれませんよ」と明かす。

 別の関係者は「大谷や菊池雄星が取り組んだ花巻東の目標達成シートのことも頭にあるんでしょう。一方で、最後の夏はその逆算ができずにあと一歩で涙をのんだ。自分ではどうしようもないことだけに、逆算することの大切さは身をもって知っている」と話す。

 この日はヤクルト・奥川や阪神・西純、中日・石川昂ら昨夏U18で共に日の丸を背負った仲間とも久々の再会を果たした。WBCや五輪への思いについては「(第1回WBCの)優勝トロフィーを見て、いつか自分もその一員として世界と戦いたいと思った。(五輪は)自分がどうこうできる立場じゃないですが、野球人生の大きな目標があって、その過程で目指せればいい」と道筋を描く。

 日本人最速、沢村賞、世界一、そして400勝。様々な未来を一本道に見立て、いよいよ怪物のプロ野球人生が幕を開ける。