37歳巨人・亀井 プロ16年目で示した新しい1番像

2020年01月10日 16時30分

胸中を大いに明かした亀井

 プロ16年目にして開拓した「新境地」とは――。ジャイアンツ球場で自主トレに励む、巨人・亀井義行外野手(37)を直撃した。昨季は5月中旬に1番に定着。2年連続で規定打席に到達して打率2割8分4厘、13本塁打、55打点をマークした。これまであらゆる打順を経験してきたが、1番のポジションにこだわりも芽生えているという。チーム野手最年長となった背番号9の思いを聞いた。

 昨季、113通り組まれた打順で、亀井は72試合で1番を務めた。持ち前の適応力やパンチ力もさることながら、原監督が評価したのは「彼が1番にいることで相手ピッチャーがすべての球種を投げてくれる」という粘り強さだった。以前も「1番打者」を多く経験したが、昨季はこれまでと全く違う感覚でプレーしていたという。
 
 亀井 去年はすごい楽しかったし、面白かった。やりがいがあったっていうか。もちろん出塁率が求められるポジションなんですけど、一番何が面白かったかって「粘ること」。“いたずら”っていうのか、ナメてかかるっていうか…。一球でも多く投げさせるっていうのが面白かった。
 
「追い込まれたら三振オッケー」の感覚は持っていたそうだが、相手投手に「10球以上投げさせたろう」とファウルを重ねていくことに、これまでになかった面白さを感じるようになったという。
 
 亀井(今までは)打ってやろうってしか考えなかったですね。選球眼もいい方じゃないから、なかなか四球を取れる人間じゃなかった。粘ることとか全く頭になくて、ヒットしか狙ってなくて…もちろん打率も下がりますよね。(でも昨季は)「遊び心」っていうか、状況、カウントによってバッティングを確実に変えたことが、前と変わったところかな。
 
 その境地に達したのも、なによりチームを最優先に考えるようになったこと、そして丸が加入したことで固まったクリーンアップにあるという。
 
 亀井 やっぱり1番って、2番以降に(相手投手の)ボールの軌道を多く見せる、一球でも多く投げさせる、出塁する、ホームランを打つ、といろんな仕事があったなっていう…。それに丸が入り2、3、4番が確立されたことで、その前に打席に立つ打者は絶対的に出塁が求められる。かつ、2ストライクになると、どんなバッターでも打率が2割前後になっちゃうんで、そうなったら粘って嫌がらせしてやろうと。
 
 指揮官の思惑にもはまり、結果にも表れてきたことで、1番というポジションへのこだわりも芽生えたのか。亀井は「それはある」と語るとこう続けた。

 亀井 ただ僕にないのは足なんで、そのイメージとは違う1番バッターだったな、というのはあるんですよ。やっぱり、みんな(4年目の)吉川尚輝に期待するわけじゃないですか。足が速いし、もちろんそこはわかるんですよ。でも、そこは僕には足りない…だったら二塁打を打てば一緒じゃないかって。だから昨シーズン、二塁打が増えたんですよ。
 
 確かに昨季放った27二塁打は、2009年の25を抜くキャリアハイの数字。粘り強さと二塁打の多い1番打者こそ、「1番・亀井」の理想像だ。
 
 亀井 盗塁ができない分、二塁打打てばいいんでしょ、ということ。足がないから…だから何?って感じなんです。足があっても全部のピッチャー相手に走れるの?って言ったら走れないじゃないですか。だから二塁打を打った方が楽、とは思ったんですね。もちろん、足があれば投手にプレッシャー与えて、(坂本)勇人とか丸の成績が上がったかもしれないですけど…それはしょうがない。僕の足が速くなるのかっていったらそれは難しいですし。
 
 今季でプロ16年目。ここに来て新境地に入ったか、との問いに「そうですね。その感じはありますね」とキッパリ語った背番号9。今季も進化した熟練の技を見せる。