地獄キャンプの再来となりそうだ。巨人・元木大介ヘッドコーチ(48)の鼻息が荒い。昨年の春季キャンプで選手を差し置いてまさかの「キャンプMVP」に選ばれた同コーチ。連日大声を張り上げ、両手がボロボロになるまでノックを乱れ打った。立場はヘッドに変わるが持論は「プレーで盛り上げるのがファンサービス」。またしてもナインの悲鳴がこだまするか――。

 リーグ連覇と悲願の日本一へ、重要な基盤づくりの場となる春季キャンプ。そのキーマンの一人が元木ヘッドだろう。2月1日から2週間の宮崎キャンプでは坂本勇や丸らに別調整が認められ、二軍スタートとなる予定。その分、一軍には実績が少ない若手が多く組み込まれることが想定される。そこで、元木ヘッドだ。

 昨春のキャンプではまさに独壇場。内野守備兼打撃コーチでもあったことから「何や、それは~!」と怒声も響かせながら右へ左へノックの雨あられ。スタンドのファンからも歓声や拍手が湧き起こり、ある意味で泥だらけになった選手以上にキャンプの盛り上げ役となった。気づけばノックバットを握った手はマメと水膨れだらけになった。そして原監督からはコーチでありながら「キャンプMVP」に…。そもそも、キャンプはどうあるべきと考えているのか。元木ヘッドは「俺は性格上、黙って打ってられないから」と笑いながら、こう続けた。

「プロだからファンのことも気にしなきゃいけない。サインを書くだけがファンサービスじゃないんだよ。プレーで魅せて、プレーで盛り上げるのがファンサービス。(キャンプから)一年が始まるんだぜ? キャンプに活気があるのは当たり前」

 ヘッドとして指導に当たった秋季キャンプではノックの本数自体は減った。練習の全般に目を行き届かせる立場となったからだ。それでも、個別練習の時間になればメイン球場を離れて毎日1時間近くノックを打ち続け「去年は(内野守備の)担当だからずーっと打ってたけど、今年もだよ。来シーズンはマメもできないなあと思ってたら、全然そんなことなかったな」と苦笑いしながら汗をぬぐった。

「(春季キャンプが)終わってから俺のインスタグラムに『キャンプ楽しかった』『見に行って良かった』というコメントがあって、すごく励みになった」と元木ヘッド。G党の声を活力に秋のキャンプで“肩慣らし”も済ませた鬼ヘッドは準備万端だ。