レバノンに逃亡したどこかの実業家のように、ルール無視の強行突破ということなのか。ソフトバンクのオスカー・コラス外野手(21)が“ナゾの亡命騒動”だ。MLB公式サイトは3日(日本時間4日)にコラスがメジャー球団と契約するためにキューバから亡命したと伝えた。

 コラスは2017年にソフトバンクに育成契約で入団。投打ともにポテンシャルが高く“キューバの大谷”とも称された有望株だ。昨季に支配下登録されると8月18日の西武戦(ヤフオクドーム)で初打席初本塁打を記録した。一軍での成績は7試合で18打数5安打、1本塁打、2打点だった。

 ただ、大きな疑問点がある。どのような狙いがあるのかということだ。現在、コラスはソフトバンクの保留者名簿に記載されている。この状態では日本球界だけではなく、メジャー球団とも契約をしようと思っても不可能だ。球団関係者は「そのような認識で合っていると思っています」と話すにとどめた。

 過去にキューバ助っ人が亡命した例でいえば、現アストロズのグリエルが挙げられる。14年にDeNAに入団したものの、翌シーズンは故障の治療を理由に来日を延期。15年4月にDeNAの契約解除を経て、翌16年に亡命をして7月にアストロズに入団した。16年に巨人の2助っ人が相次いで亡命したが、いずれも自由契約後だった。

 今回の突然の亡命騒動。鷹サイドが譲歩しない限りコラスがMLBでプレーできることはなさそうだが「正直、今季もファームが濃厚。ケチがついた選手を無理に置いておいても…」との声もある。どのような決着となるか――。