巨人ナイン「阿部二軍監督を男に!」で団結

2020年01月03日 17時54分

昨年急きょ現役を引退し、二軍監督になった阿部

 背番号10の“無念”をパワーに日本一奪回へ――。昨季限りで現役を引退した巨人・阿部慎之助二軍監督(40)。本人は今季までプレーを続行するつもりだったが、恩師である原監督との直接会談で1年前倒しを決断した。思わぬ形で早期引退となった元最強捕手の思いを胸に、ナインが再び団結を強めている。

 日本シリーズの悔しさは同じ舞台で晴らすしかない。5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人は、日本シリーズでソフトバンクに屈辱の4連敗。日本一に届かず、ナイン共通の思いだった阿部二軍監督に引退の花道を飾らせることができなかった。主将の坂本を筆頭に「日本一になれなかった悔しさは忘れない」と繰り返す言葉のなかには、そうした悔しさも含まれている。

 阿部二軍監督が急きょ引退を決断したのはリーグ優勝決定翌日の9月22日。神宮球場のクラブハウスで原監督と2人きりで話し合い、大きく方針転換。決め手は「将来のことだったり、僕が思っている以上に原監督が考えてくださっていた」という点だ。もちろん、引退してそのまま指導者になれるのは選ばれた者にしか認められない「栄誉」。本人はすぐに気持ちを切り替えたが、自分に明確なゴールを定めた背番号10の姿を周囲はさまざまな思いで焼き付けていた。

 日本シリーズ中には吉村打撃総合コーチ(現作戦コーチ)も、ラストスパートをかけた阿部を見つめながら「いろんなことを回想しながらやっているのかなと感じるね。(引退への)カウントダウンが始まると、いろんな人への感謝の気持ちも出てくるし、対戦した選手に対してもそう。もちろんファンにもね。それまでとは違う感情も出て、違った景色が見えたりするものなんだよね」とポツリ。選手たちも「引退を決められてから、阿部さんが笑っていることが増えたように感じます」「打席に入れば勝負なんでしょうけど、それ以外のところでは今までにはない何とも言えない感じが…」と“変化”を口にしていた。

 こうした声を当時の本人にぶつけてみると「そうかなあ」と戸惑いつつも「でも、楽しそうに見えるっていうのはうれしいね。そう見られるってことは、俺、やっぱり野球が好きなんだなあ…」としみじみと語っていた。

 もう自分のバットで日本一を奪回することはできなくなった。それだけにチーム内は「来年こそ日本一になって、阿部さんを男にできなかった悔しさも晴らしたい」と結束。背番号10の“遺志”は後輩たちに受け継がれている。