ソフトバンクの内川聖一内野手(37)がポジティブな思いで新たなシーズンを迎えようとしている。26日にヤフオクドームで契約更改に臨み、年俸4億円から大幅減の2億5000万円プラス出来高払いでサインした。それでも気持ちに揺らぎはない。ある人物からの言葉を胸に前を向いている。

 内川がすっきりとした表情で会見場に現れた。今季が2年契約の最終年。新たに結んだのは減額制限ギリギリとなる1億5000万円減の年俸2億5000万円の単年契約だった。移籍後の初ダウンだ。それでも「減額制限の40%に2%残してくれたことが球団の愛情だと思う。その愛情を来年返したい」と話した。

 今季は故障者が続出した。そんな中で3年ぶりに規定打席に到達。持ち味の打撃は打率2割5分6厘、12本塁打、41打点と苦しんだが、守備率10割をマークしてゴールデン・グラブ賞にも輝いた。契約形態があるとはいえ、周囲は故障者も含めて大幅減も少なく更改を終えている。これだけのダウンとなればショックは大きくてもおかしくない。
 
 それでもポジティブに捉えて来季へ向かっている。きっかけとなったのがある人物の言葉だという。10月9日の西武とのCSファイナルステージ初戦(メットライフ)。代打を送られた。ここまで打撃で上りつめてきた内川だけに、悔しさは胸にあった。それでも前を向いて長谷川勇を送り出すと、値千金の一打を放ったヒーローを笑顔でベンチに迎え入れた。

 これにすぐさま電話をくれたのが、前ヘッドコーチの達川光男氏だった。楽天とのファーストステージを突破に導いたのは内川の活躍だった。「お前、格好ええわ。(代打を出された後に)ああやって声をしっかり出してハイタッチもして。たいしたもんだ。お前のおかげでチームはここまで来れて。格好よかった! いい指導者になれるよ。いろいろな経験が生きてくるから」とメッセージを送られたという。

 内川は「救われましたね。見ている人は見てくれている」。その上で「うまくいってたら分からないこともある。先のことは分からないけど、やったことがないこと、経験したことがないことというのは、将来を考えればプラスにもなるんだなと思った」と話す。

 現役は続けられる限りは続けたいとの思いを持っている。12月はハワイで名球会のイベントに参加した。「みなさん『もっと続けたら良かった』と話すんですよね。王会長もそうですし。『絶対に続けたほうがいい』と言われますし」

 その中で酸いも甘いも自らの糧にしていくつもり。「今回もマイナスなのはお金だけ。お金だってソフトバンクの査定を見ているから下がったと思うけど、38歳のシーズンに2億5000万円をもらえている」と続けた。

 もちろん、このままでは終わらない。打撃も2020年型の完成に取り組んでいる。その思いもポジティブだ。「新しいことを経験させてもらっている。野球は苦しいものと思っていた。今は別のことを感じさせてもらってます。24時間では足りない」。どちらかといえばネガティブ思考なこれまでの姿はない。内川がワクワクした思いを胸に新たなシーズンに向かう。(金額は推定)