リーグ連覇、日本一奪回を目指す巨人にとって不可欠なのは若手の台頭だ。今オフは7年ぶりのFA補強ゼロに終わり、球団はより育成に重点を置く方針。出場機会に飢える選手たちにはレギュラー取りのチャンスが広がるが、2020年にブレークの予感を漂わせるのは誰か。戦力の底上げを図る上でキーマンの一人である村田修一二軍野手総合コーチ(38)が挙げた注目株2人は――。

 ヤングGに追い風が吹いている。巨人は今オフに参入したFA戦線で、美馬(現ロッテ)と鈴木(現楽天)の獲得に失敗し、2012年オフ以来の“珍事”となった。一方で新顔のFA戦士が不在となり、若手へのチャンスは拡大しそうだ。

 ファームにはまだ多くの才能が眠っている。来季一軍で飛躍しそうな若手はいるのか。阿部二軍監督は「可能性を秘めている子はいっぱいいる」としながらあえて実名は伏せている。では、今季はファーム打撃兼内野守備コーチとして一軍に戦力を送り込み、成長をサポートしてきた村田コーチにはどう映っているのか。

 村田コーチは「みんなに期待していますよ」と前置きした上で2人の名前を挙げた。まずは高卒ルーキーの山下航汰外野手(19)だ。7月に支配下登録を勝ち取り、イースタン・リーグで打率3割3分2厘をマークし、首位打者に輝いた。

「山下の対応力にはビックリしました。こんなに通用する高卒1年目がいていいのかというぐらい通用しましたね。山下は“ほったらかし”だったので。ちょっと状態が悪くなってきた時に『自分で考えてこいよ』と言うと、自分から『こうします』と。『じゃあ、やってみな』と言ったら、それで直っちゃう。僕の仕事なんかなかったですよ。一軍を少し経験してガタガタになって帰ってきて『よしよし、やっと俺らの仕事ができた』と思ったぐらいですから(笑い)」

 もう一人は、大卒2年目のシーズンを終えた北村拓己内野手(24)だ。

「北村はもうちょっと一軍で頑張ってもらいたい。状態が悪い時でも上手に野球をできる子で、そこが長所であり短所。細かい野球はすでに身について守備もだいぶうまくなりましたけど、すぐに気を抜くので…。『そこで気を抜くようじゃ、お前は選手として成り立たない』という話もしました。二遊間で足を使って守る選手じゃない。だったら長打を生かさないといけない。もともと出塁率は高いので、当たった時は飛ぶよという打撃を伸ばせればいいと思います」

 イースタンでは112試合に出場し、出塁率はリーグ1位の4割1分4厘で打率も同3位の2割9分。ただ、両者とも一軍では山下航が12試合、北村も5試合の出場にとどまった。村田コーチの“予言”は的中するのか。それとも別の若手がスターダムにのし上がるのか…。今後に注目だ。