ロッテ 涌井の金銭トレードで見えた選手ファースト

2019年12月20日 16時30分

金銭トレードで楽天へ移籍することになった涌井

 ロッテの涌井秀章投手(33)が金銭トレードで楽天へ移籍することが19日に決まった。同日には楽天にFA移籍した鈴木の人的補償に小野、FAで獲得した美馬の人的補償で酒居の楽天移籍がそれぞれ決定。また楽天を自由契約となったハーマン獲得も決まり、実質的な“大規模トレード”が成立した。チームの顔でもある涌井の金銭での放出にファンの間では衝撃が走ったが…。涌井のためを思っての球団の決断には、あの黄金ルーキーの周囲から喝采の声が上がっている。

 ZOZOマリンスタジアムで対応した松本球団本部長は「FAで来てもらって、チームにも貢献してくれた。感謝の気持ちでいっぱい。ただ、若いピッチャーが特に先発で増えてきた。本人とも話しながら、先発にこだわるということなので。楽天さんからも話が来ていた。涌井の気持ちを考えて判断しました」とトレードの理由を説明。

 涌井本人の先発へのこだわりと環境を変えてもう一花咲かせたいとの思いを尊重した格好だ。金銭となったことについては「誰と釣り合うかという話になってくる。総合的な判断。あれだけの実績のある選手。お金というより涌井の気持ちを考えて」とあくまで涌井の意思を最優先した結果と話した。

 今オフは楽天を育成契約となった西巻の獲得に始まり、鈴木と美馬のFA、両者の人的補償の小野と酒居、この日獲得を発表したハーマン、そして涌井と、両球団合わせて7選手が移籍という実質的な大規模トレードとなったロッテと楽天。

 なかでも涌井の金銭トレードには大きな衝撃が走ったが、ふたを開けてみればFA権を持たない涌井をなんとか先発で投げられる環境に行かせてやろうという“選手ファースト”のトレードだったというわけだ。

 実質的な4対3のトレードを「結果的にそうなっただけ。両チームで激しい展開になったけど、アメリカではよくあること。今後も積極的にやっていきたい」と総括した松本球団本部長だが、この球団の姿勢に黄金ルーキー・佐々木朗希投手(18=大船渡)の周囲も感銘を受けている。

 佐々木朗をよく知る関係者は「体が未完成な朗希にとって、フィジカル面での涌井選手のストイックな姿勢こそ見習うべきで、それを間近で見られないことは残念でしょうがない」と前置きしたうえで「ただ、野球人生の岐路に立ったときに、選手の意思を一番に尊重してくれるチームばかりじゃない。朗希もいずれ世界を相手に挑戦するときが来るはず。あらためて、そのときに背中を押してくれる球団に入ってくれてよかった」と今回の決断を高く評価する。

 ともあれ、今回の再編で一回りチームの若返りを図ったロッテ。

 期待の黄金ルーキーは生きのいい若カモメの中に割って入るような活躍ができるか。

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