阪神がレジェンドOBをめぐって紛糾している。今月上旬、今季限りで球団のオーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(SEA)を退任したはずの掛布雅之氏(64)が親会社である阪神電鉄に新たなポストで残留することが決定。10月いっぱいで退団したはずのミスタータイガースの“再雇用”に波紋が広がった。

 決め手になったのは意外なものだという。「ファンの人がアップした動画が大きかったようだ」(球団関係者)。掛布氏の退団発表後、熱烈な虎党がユーチューブ上で抗議を展開。「なぜ切るんだ!」「一体何を考えているんだ!」などと猛烈に批判したことに電鉄幹部が敏感に反応。「このまま手放すわけにはいかない…」と方針転換に踏み切ったとみられる。

 阪神では昨年、金本知憲前監督が心ないファンからのヤジに応戦する動画がツイッターなどで拡散し、解任の一因になるなどSNS上でのゴタゴタがあった。今回も動画サイト上での出来事を重く見た判断といえるが、電鉄サイドからは「ファンの声は大切にすべきだが、一部の声高な意見に影響を受け過ぎて右往左往するのもどうなのか…」との見方もある。

 また、掛布氏の正式な役職や活動内容もあいまいなため、OB諸氏からは「批判を逃れるための、形式的なものになってはいけない。それでなくてもたらい回しにしているようで失礼なんだから…」(あるOB)との声も上がっている。

 藤原オーナーは「野球の面白さを広めていただくような仕事をしてもらえるようご相談していきます」と語っていた。掛布氏はどんな任に就くのか…。