巨人・阿部二軍監督 かつての天敵を利用して無名選手を売り出す

2019年12月17日 16時30分

V旅行から帰国した阿部二軍監督。視線の先に見えているものは…

 かつての天敵を育成ツールに――。巨人・阿部慎之助二軍監督(40)が若手の底上げへ、巧みなメディア戦術を導入する。自らを広告塔として無名戦士に光を当て、巨人特有のプレッシャーを乗り越えさせるというものだ。新人時代には「人間不信」に陥るほどの“メディア・アレルギー”を克服したスター監督ならではの発想で、ヤングGに新たな刺激を与えていく。

 5年ぶりのリーグ優勝を飾った巨人一行は、ハワイへの優勝旅行から16日に帰国。現役最終年をV旅行で締めくくった阿部二軍監督は、シーズン中になかなかできなかった家族サービスもできたようで「疲れたよ…」と満足そうな笑みを浮かべた。ただ、夢のような時間は一瞬だ。阿部二軍監督には若手育成という重責が待ち受ける。どうやって一人前に育て上げるのか…。本人も日々思案を巡らせているが、本紙に明かした一端はメディアをフル活用することだった。

「僕が二軍監督になることで(二軍取材に訪れる)マスコミも増えるだろうし、そこで目立った選手は『すごいじゃん』ってなる。そうしたら、その選手が注目してもらえるでしょ? 選手もそこを利用しないとね。せっかく見てもらえるんだもん」

 球界屈指の元最強捕手が手掛ける育成術は大きな関心事だ。春季キャンプも大勢の報道陣が二軍球場に集結することが見込まれる。そこで汗を流す多くは一軍での実績が乏しく、世間的な知名度も高くないメンバーが中心となるだろう。しかし、阿部二軍監督の“フィルター”にかかった途端、無名選手から注目選手に変わる。そこを利用するわけだ。

 阿部二軍監督は秋季練習の初日に直接指導した育成・黒田がクローズアップされたことを引き合いに「ああいうのはいいことだなって思った。そうなったら、今度は自分にプレッシャーがかかるでしょ? 注目されているなかで、どうやって結果を出すか。あの子たちには、すごくいいプレッシャーになると思うんだよね」と打ち明けた。

 今でこそ阿部二軍監督も大勢の報道陣に慣れっこだが、鳴り物入りで巨人に入団した当初、メディアはまさに天敵だった。特に開幕スタメンに抜てきされたルーキーイヤーは「皆さんに叩かれまくってね。仲のいい記者とご飯に行って飲んで騒いだ次の日に俺をぶっ叩いていて…。そこから信用できなくなった」と、ついには「人間不信に陥った」ほどだった。

 だが、そうした重圧やバッシングを乗り越えてこそ巨人で生き抜く一流選手。阿部二軍監督は「プロってそういうものだと思うしね。(若手は)今から慣れといた方がいいよ」とも語った。

 名もなきヤングGが目指す舞台は、周囲360度から4万5000人の視線が突き刺さる東京ドーム。その重圧は計り知れない。自身の体験から斬新なアイデアを生み出す阿部流の育成法から今後も目が離せない。 

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