14年ぶりの西武復帰が決まった松坂大輔投手(39)が11日の会見で前回在籍時の印象的な2試合を振り返った。

 松坂は「初登板の試合と米国に行く前、最後の登板ですかね。やっぱり周りに残した印象も強かった試合だと思いますし、その時のライオンズでの最初と最後のゲームということで印象に残っています」と2つの“ベストピッチ”を挙げた。

「最初」は説明するまでもない1999年4月7日、東京ドームでのデビュー戦(対日本ハム)のこと。

 初回、3番・片岡篤史を追い込むと、捕手・中嶋が構える内角高めへ糸を引くような155キロのストレートを投げ込み空振り三振斬り。5回には胸元への際どい球に激高したフランクリンがマウンド方面に詰め寄り、両軍ベンチが飛び出す不穏な空気の中、わずか18歳の松坂は一切動じることなく、逆にフランクリンをにらみ返す強心臓ぶりを見せつけ、8回2失点で初勝利を挙げる鮮烈なプロデビュー戦だった。

 一方で松坂が「最後」として挙げた西武でのラスト登板は2006年10月7日、ソフトバンクとのプレーオフ・ファーストステージ第1戦(当時インボイス)のことだ。

 この試合で相手のエース・斎藤和巳と息詰まる投手戦を演じた松坂は当時、松中やズレータらが中核を成していた強打のホークス打線に踏み込ませないために初回から厳しい内角攻めを敢行。結果、4死球を与えながら、鬼気迫る投球で要所を締め、6安打13奪三振の完封勝利。7回に和田の適時打で得た虎の子の1点を守り抜き、当時ホークスの絶対的エースだった斎藤和との投手戦に1―0で勝利した。

 初戦こそエースの奮投で奪ったものの西武は第2、3戦に敗れ第1ステージで敗退。日本での最後の雄姿を日本シリーズで飾りたかった松坂がブルペン横に陣取り最後まで投手陣、ナインを鼓舞しながら終戦を迎えた無念の表情が印象的だった。

 間違いなく西武の一時代を築いた元エースは現状の自らの投球スタイルを「球が遅くなり、今はあまりやりたくないと思っていたボールを動かす投球をしている」と語りながら「そうすることが自分が生きていく道だと思ってやっている。今の自分ができる形を100%出してやっていきたい」とコメント。球速、スタイルこそ変化しても野球に対する情熱だけは失っていないことを笑顔で語った。