巨人・阿部慎之助二軍監督(40)が本紙に「珍公約」だ。今季限りで19年間の現役生活にピリオドを打ち、第2の野球人生を歩み始めたレジェンドはチームの底上げに意欲十分。若手に強烈な言葉を投げかけつつも「非暴力」を掲げるなど時流に合わせた指導方針を示してきたが、今回は新たに自身の誓いを立てた。その“らしさ全開”の内容は――。

 選手生活を終えても、阿部二軍監督のオフは実にせわしない。秋季練習を途中で切り上げ、11月中旬から10日間の中南米視察。水野巡回投手コーチとともにドミニカ共和国とプエルトリコで海外の野球に触れ、帰国後も番組収録などに引っ張りダコ。2日からは台湾でウインターリーグを視察し、8日は札幌でのトークイベントに出演した。

 引退しても人気は衰え知らず。一方で、その顔は着々と指導者へと変貌を遂げている。二軍監督に課せられた最大の使命は底上げ。来季一軍で通用する選手を一人でも多く送り込むことはもちろん、数年スパンでモノになる選手を鍛え上げるなどやるべきことは多い。

 阿部二軍監督はどんな指導者となるのか。まず打ち出した鉄則は「殴らないこと。手は上げないし、足も振り下ろさない」。らしいジョークとも言えるが、バリバリの体育会系で生まれ育った人間にとって、これが簡単のようで難しい。

 阿部二軍監督も体罰が当たり前のように横行した昭和、そして平成、令和と駆け抜けてきた一人。「ついうっかり…」なんてことは許されない時代だけに強く胸に刻んでいる。

 ただ、手は出さなくても口は出す。秋季練習後には「期待できる若手はいない。それぐらいレベルが低いと(選手に)分かってほしい」とぶった斬った。この発言があらぬ波紋も呼んだが、改めて真意を聞くと「来年、みんな覚悟して来てくれよっていうメッセージ。それだけ、この休み(オフ)の期間は大事だから」と打ち明けた。

 時に言動が少々荒っぽく映ることがあっても、どこかユーモラスな阿部二軍監督には現役を終えた今だからこそ立てた誓いがある。

「いつも東スポがね、僕の容姿のことをイジってくれるから頑張りますよ。ライザップまでやっているヒマはないけどね」

 最近では指導者転身によって現役時よりも運動量が減り、さらに巨大化するのでは?との周囲の懸念を報じたが、これが阿部二軍監督のアンテナに引っかかったようだ。

 とはいえ、今の指揮官である原辰徳監督や高橋由伸前監督ら巨人の歴代監督は、人気球団の顔として体形には人一倍の注意を払ってきた。この経緯について、阿部二軍監督は「何で? デブじゃいけないの!?」と食いぎみに“新機軸”を打ち立てつつも「自己管理とか、そういうことを言えるようじゃないといけないと思うから。だから、体形を維持しているんじゃないかな。そうじゃないのかな」とうなずいた。

 原監督からも「素晴らしい野球人であると同時に、素晴らしい指導者になってもらいたい」と絶大な期待を寄せられる生え抜きのスター監督。いつの日か、伝統球団を一手に率いるその時も体形維持と戦い続ける。