エースの自覚を胸に夢の舞台へ――。日本ハムの有原航平投手(27)が4日に札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季年俸から7500万円増の1億4500万円でサイン。早ければ来オフにポスティングシステムを利用して米大リーグに挑戦することを球団に要望したと明らかにし「入団時から思いは持っていた。チームを引っ張っていける成績を残して、来年挑戦したいと伝えました」と真剣な表情で語った。

 今季は先発の柱として24試合に登板し、キャリアハイの15勝で最多勝のタイトルを獲得。リーグ2位の防御率2・46と抜群の安定感を誇った。球団からの高い評価に「すごい評価してもらいましたし、一年間、本当によくやってくれたという言葉をかけられたのですごく満足しています」。有原からメジャー挑戦の意思を伝えられた吉村GMは「来年のチーム状況、彼自身の成績はしっかり見ていかないと。無条件ではない」と慎重だったが、チーム内では有原がハッキリと意思表示したことに今季の成長が表れているともっぱらだ。

 2014年のドラフトでは4球団が1位指名で競合した大器だが、どちらかといえば控えめなタイプで「これまでは大谷や上沢など、誰かの陰で目立たないようにしていた選手だった」(チーム関係者)。それが今季は昨年10勝のマルティネスが相次ぐ故障で一軍登板なし。同11勝で開幕投手を務めた上沢も6月18日のDeNA戦で打球を受けて左膝蓋骨を骨折し、長期離脱を余儀なくされた。そんなチームの危機に奮起したのが有原で、首脳陣からも「エースらしさが出てきた。『自分が引っ張っていくんだ』という気概も感じるようになってきた」と言われるまでに成長した。

 いわば“けがの功名”でもあるが、成績も伴ったことでひそかに抱いていた夢を公言できるまでになった。「もっともっとチームを引っ張っていきたい」。一皮むけて、有原に頼もしさが加わってきた。