まさに「天国と地獄」だ。3日に行われた巨人の契約更改で、中島宏之内野手(37)が減額制限をはるかに超える1億3000万円ダウンの2000万円でサイン。一方で2年連続30本塁打、4番としてチームを引っ張った岡本和真内野手(23)は6000万円アップの1億4000万円で更改した。実績あるベテランにも容赦ない、原監督の采配さながらの“信賞必罰”査定となったが、その背景には何があるのか――。

 5年ぶりのリーグ優勝に貢献したナインが次々とアップ査定を受ける中、中島に待ち受けていたのは「約87%ダウン」という非情査定だった。ダウン幅でいえば、2015年オフに4億5000万円から、およそ90%ダウンの5000万円を提示された杉内俊哉(現二軍投手コーチ)以来の減額だ。

 チームの若返りが急務のなか、第3次原政権の“サプライズ”として岩隈と入団するも、出場数はわずか43試合。主に代打での起用で打率1割4分8厘、1本塁打、5打点に終わったとあって、中島も「下がるのは当然のこと。またユニホーム着て、チャンスをもらえている。何とか貢献できるようにしたい。せっかくジャイアンツでやらせてもらっているので」と淡々と受け止めた。

 一方で約75%アップと高評価を受けたのが岡本だ。昨年より数字を落としたものの31本塁打、坂本勇に並ぶ94打点は立派のひと言。「正直に言った方がいいですか? どうしよう…恥ずかしい。んーと、6000万アップです」とはにかんだ若き主砲は、交渉の際に球団に要望したことを問われ「サロンの食堂に出てくるメロンが硬いと。ちゃんと熟したヤツが、と要望を出しました」と語るなど“岡本ワールド”全開の爆笑会見となった。

 対照的すぎた2人の会見。その査定はまさに“信賞必罰”ともいえるものだが、その背景には、やはり全権を担う原監督を中心とした編成部門のチームマネジメントが影響しているという。

「チーム編成部門に原監督を迎えた際、チェックの入ったポイントの一つが年俸のバランスだった。以前、FAで獲得した山口の当時の年俸と、菅野との対比が物議を醸したことがあったからね。そういった経緯を踏まえてか、丸をFAで獲得する際は野手最高額の坂本とのバランスを考えたとも言われている。今回の査定もそういった部分が反映されているのでしょう」(球団関係者)

 球団は昨季までの実績と、期待を込めた中島には1億5000万円、実績十分も開幕からの活躍が微妙だったメジャーリーガー・岩隈には5000万円を提示していた。今回、ダウン幅こそ違えど2000万円と同額に“処した”ことで、生え抜きと外様の間に生まれる評価の不公平感をなくす狙いもあったのだろう。

 チーム、球団改革が進む巨人。契約更改も、主力では坂本勇、小林らを残すのみとなった。(金額は推定)