今年3月に現役を引退したイチロー氏の初陣にオリックスが色めき立っている。

 イチロー氏は1日に友人らと結成した草野球チーム「神戸智弁」の「9番・エース」として、ほっともっとフィールド神戸で念願の草野球デビューを果たした。背番号「1」をつけてマウンドに立ち、智弁和歌山の教職員チームを相手に毎回の16奪三振、6安打、131球の快投を披露し、打っては猛打賞の活躍で14―0で完封勝利。慣れ親しんだ神戸で初陣を飾ったイチロー氏は「まだいける。肩、ヒジはまったく問題ない。むちゃくちゃ楽しかったですね」と笑顔を見せた。

 そんな姿に手ぐすね引いているのが古巣オリックスだ。神戸智弁は今後も対外試合を続けると見られ、球団関係者は「ウチも職員の草野球チームができたばかり。絶対やりたいですよ。ずっと神戸で自主トレをやってきたわけだし、ウチとの関係を考えたら優先的にやらせてもらわないと困ります。OBを集めることだってできる」と対戦相手に名乗りを上げた。

 2001年にメジャー移籍して以来、オリックスが管理する同球場でオフの自主トレを続けてきた。ここ数年はイチロー事務所がレンタルしているとはいえ、それまでは無償で提供し、いっさい注文をつけることなく、世界的スターとなった至宝を温かく見守ってきた。草野球の対戦相手の“資格”は十分すぎるほどあるというわけだ。

 現役時代の盟友の田口コーチも「一緒にやりたい。呼んでもらえるように肩を作ろうかと思っています」と腕をぶし、ほかにも福良GM、長谷川SAら、イチロー氏とゆかりのあるスタッフは数多い。快調な滑り出しを見せたイチロー氏の草野球生活。その対戦相手には、名乗りを上げる人たちが続出しそうだ。