巨人同様に日本一球団の風向きも変わりつつある。12球団で唯一、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍がない球団となったソフトバンクの後藤芳光球団社長(56)が、今後の球団方針について語った。27日のオーナー会議の後に報道陣に対応した。

 基本的な姿勢に変化はなく「付随的な目的はともかく、直接的な目的は選手を出すチームが対価を受け取ることだが、そこには興味は全くない。それは我々の合理性にはない。お金をたくさんもらえる、いい選手であるなら、もっとうちのチームで頑張ってほしい」とした。

 ただ、その一方で昨オフに米球界移籍を希望する千賀と会談の場を持つなど軟化しているようにも見える。改めて「何が何でもダメだと言い続けるべきではない。ポスティングシステムを使って選手がどう野球に対する思いを実現できるのか。トータルでチームがメリットを得られる考え方にはどういうロジックがあるのか。ポスティングそのものが絶対にダメという従来の考え方より我々は進化しています」と説明した。

 ポスティング解禁の条件について、球団フロントからは「それこそ誰もが認めるような圧倒的な成績を残して『メジャーで見てみたい』『行かせてほしい』という声が高まるようなら、それでもかたくなに認めないというものではないでしょう」との観測も出ている。

 ベストナインにも輝いた今季の千賀の活躍ぶりについて後藤社長はどう見ているのか。日本シリーズの際にこう話していた。「まだまだ彼の力はこんなものじゃない。要所要所で素晴らしい能力を出してくれたが、シーズンのトータルでは彼もじくじたるものがあるでしょうしね。もっとすごいものをこれからも見せてほしい。夢がある人は強いんじゃないですか。そういうのは僕も好きですから」

 千賀がさらなる成長を遂げてポスティングの扉をこじ開けられるのか。明確な数字上のラインはないもようだが、来季以降の活躍に焦点が集まる。