【NPBアワーズ】パ・リーグの新人王には、ソフトバンクの高橋礼投手(24)が選ばれた。本格的に先発転向した今季は規定投球回に到達して12勝6敗、防御率3・34の好成績をマーク。2年目ながら規定で資格を有し、新人で65試合に登板した同僚の甲斐野央(23)を大差で抑えて堂々の受賞となった。

 高橋礼といえば、今や「絶滅危惧種」とされるアンダースロー。ただでさえ希少な投手だが、近年、減少傾向にあるワインドアップ投法にも強いこだわりを持つ。大きく振りかぶって、潜水艦のように沈み込む――。美しいフォームでインパクトある投げ方には、高橋礼ならではの思いがある。

「僕は『魅せる』ことも大事にしたいんです。振りかぶって投げる一番の理由は、シルエットがかっこいいから。これ、本当です。投げ急ぎを防ぐという理由もあることはあるんですが…」

 往年の本格派投手が好んだワインドアップ投法は人それぞれの感覚だが、バランスを崩す、制球の乱れが気になるなどの理由で減少傾向にある。

 実際、高橋礼も「ワインドアップからのアンダースローって、見た目よりもめちゃくちゃきついですからね」と証言する。「でも僕、やめたらもっと…なんて考えませんよ。僕みたいな考えの選手、一人くらいいた方が面白いと思うんですよ。野球に興味を持ってもらいたい。その入り口になるのかなと思って」

“令和のサブマリン”はこれからも己の信念を貫き、記憶にも記録にも残る大投手を目指す。