侍ジャパンの一員としてプレミア12の初優勝に貢献した中日・大野雄大投手(31)が、なぜか浮かない顔をしている。大会中は慣れない中継ぎとして3試合に登板し、計5イニングを投げて7奪三振、1失点。防御率1・80と堂々の数字を残したが、全92球のうち現実を突きつけられる一球があったという。

 日本が同大会唯一の黒星を喫した12日のスーパーラウンド、米国戦でのことだ。2点を追う6回から4番手で登板し、先頭打者の放った打球は中堅手の丸(巨人)がフェンスに激突しながら好捕。しかし大野雄は「(カウント1―2から)決めにいった150キロの内角真っすぐを簡単にはじき返されてショックだった。精度は良かったし、これ以上ない球だった。あの球は見逃し三振か、もしくは振ってきても前に飛ばないようなイメージで投げて、ホンマにそこに行ったのに…」と頭を抱える。7回一死から2番打者に被弾した一球は失投と割り切れるが、問題の一球で現実に引き戻されたという。

 今季は防御率2・58で初タイトルとなる最優秀防御率に輝いた。プレミア12では世界一にまで上り詰めるなどいいことずくめだったが、浮かれてはいられない。

「もっともっとレベルの高い選手がいるってことだし、自分はまだまだこんなもんではあかんなと思い知らされた。球速ではない強さ、キレを追い求めていって、手の出ないような球を投げるようにしないと」

 大会では侍ジャパンの強打者たちのすごさも改めて実感した。

「この冬でレベルアップして、来春に対戦するときは『大野よくなっているな!』と(侍の)メンバーに思ってもらえるようにという思いはある」と気持ちを新たにしている。